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2006年7月30日更新


【2006年度 教育施策連絡会】 都知事・教育委員の発言の記録

 今年度も教育施策連絡会が開かれました。
 4月6日は区市町村教育委員会300名、4月10日は公立学校校長2300名を前に、都教育長・教育委員らが東京都教育委員会の施策について話しました。
 33号(4月16日)で毎日新聞の記事から引用しましたが、知事・教育委員らの発言の詳細が分かりましたのでまとめてみました。

 教育施策連絡会での発言は、毎年、教育庁報に掲載されています。字数の制約もあるのでしょうが、結構、カットされている部分があります。特に、今年は米長委員の発言が大きく修正されています。管理主事・学校経営支援センターについて、都教育庁への批判も含め、かなり刺激的な言葉を使っていますが、無難に都教育庁の公式見解の範囲にまとめられています。
 例年、米長委員の発言は、校長権限強化・異動要綱・ジェンダーフリー・国旗国歌など、都教委の方針を明確に示しており、発言にも勢いがありました。将棋連盟の仕事が忙しいのもあるんでしょうが、今年の発言には例年のような勢いが感じられません。
 この間、教育委員会定例会で繰り返し米長委員が主張してきたことは必ずしも実現していないし、施策連絡会での発言からも都教育庁との微妙な距離が見えています。



 さて、教育庁報に掲載されていなかったのは、以下の部分です。

 まず石原都知事については、戸塚ヨットスクールの部分がカットされています。
動物行動学者のコンラッド・ローレンツの話の前に、前に戸塚宏の「すばらしさ」について述べています。
 37号(5月6日)でお伝えしたように、石原都知事は、「戸塚ヨットスクールを支援する会」の会長として、戸塚氏を支持・支援してきました。単純に字数の問題もあるでしょうが、都教育庁としてはあまり触れたくない部分のように思えます。

 鳥海委員については、毎日新聞でも報道されている通り、明確な改憲・教育基本法改正の発言をしていますが、教育庁報では曖昧な抑えた表現に修正されています。
 実際には「憲法とかあるいは教育基本法の改正というものを急ぐべきであるというように思っておるわけでございます。きょうはそれをもって私の言葉としたい」と明確に述べていますが、教育庁報では、「この国の形、国家理念というも
のを、今は変えるべき時にきている」の部分だけを引用しています。
 また、財界は教育基本法改正を急ぐべしとの提案をしていると繰り返し述べていますが、教育庁報では、「教育基本法についても様々な議論がなされている」と修正しています。
 また、毎日新聞では報じられていませんでしたが、ホリエモンを批判するとともに、「格差社会」論への反発を示しています。 「小泉さんはこれだけの経済の立て直しをしたという点からみると、私は百点満点だというふうに思っております。」と小泉首相を評価しています。ホリエモン批判と小泉改革百点満点の部分は、教育庁報ではカットされています。

 今回、一番、過激な言葉を連発したのは米長委員です。
 管理主事や経営支援センターについて、これまで教育委員会定例会など発言してきた主張を繰り返しました。
 これまで以上に刺激的な言葉を使っていますが、問題になりそうな部分は削除され、都教委の公式見解の範囲に無難に修正されています。
 「海軍と陸軍」「校長先生を支配する、経営支配センターとなるのか」「行政職の教師と、校長になる教師と、とにかく出たり入ったりということを強く進言」「東京都のシステムというのですか、現状は、教育基本法に反している」「行政による不当な支配を許してはならない」「軍隊組織を民主化」「教育というものが行政からの植民地化されたものを独立させるということが私のこれからの教育委員の立場」など、全てカットされています。

 中村教育長は、「都民に信頼される学校運営の確立」として、「今後とも入学式、卒業式等の適正な実施につきまして引き続き各学校における適切なご指導をよろしくお願い申し上げます」、などと述べています。例年、教育長発言は、公式見解どおり、原稿を読み上げるているような内容なので、教育庁報での修正はほとんどありません。

【過去記事/関連サイト】
●33号:鳥海教育委員委員「憲法・教育基本法を変えていかなければ」と発言
 http://suruke.web.fc2.com/mail_news/mail_news31-40.htm#33

●35号:米長委員「東京は行政職による教育支配が最も進んでいる」と発言
 http://suruke.web.fc2.com/mail_news/mail_news31-40.htm#35

●37号:「体罰は教育」戸塚ヨット校長が出所 石原都知事が支援メッセージ
 http://suruke.web.fc2.com/mail_news/mail_news31-40.htm#37

●教育庁報NO.515(石原知事・中村教育長)
 http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/soumu/choho/515/index.html

●教育庁報NO.516(木村委員長・鳥海委員・米長委員・内館委員・高坂委員)
 http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/soumu/choho/516/index.html

●教育施策連絡会での教育委員の発言(2003年)
 http://tokyo.cool.ne.jp/kunitachi/kyouiku/030421shisaku.htm
※教育基本法10条、国旗・国歌、異動要綱、日本人としてのアイデンティティに
ついてなど。

●教育施策連絡会での知事・教育長・教育委員の発言 (2004年)
 http://tokyo.cool.ne.jp/kunitachi/kyouiku/0408tokyoui.htm
※鳥海委員「(「君が代」で起立しない者は)半世紀巣食ってきているガンだか
ら、痕跡を残しておくわけにはいかない。必ずこれは増殖する」
米長委員「とにかく1年で出す。これが戦国時代の最後の一番大きな闘い」
「しかし、一番大きな問題は男女混合名簿」

■石原都知事の発言

石原都知事については、戸塚ヨットスクールの部分がカットされています。
動物行動学者のコンラッド・ローレンツの話の前に、前に戸塚宏の「すばらしさ」について述べています。
 37号(5月6日)でお伝えしたように、石原都知事は、「戸塚ヨットスクールを支援する会」の会長として、戸塚氏を支持・支援してきました。単純に字数の問題もあるでしょうが、都教育庁としてはあまり触れたくない部分のように思えます。


●全記録より
4月10日
・・・この4月いっぱいで私が後援会の会長をしている戸塚宏君が出所して出てきます。
 これはかって有名な戸塚ヨットスクールで、どうにも、親も学校も周辺が手に負えなくなった子供を預かって、本当に奇跡のように短期間に再生蘇生させてきた男です。・・・(略)
 彼のそういうすばらしさをここでくどくど申し上げる必要はありませんけれども、彼自身がそういう体験を含めて世相を憂いながらあの学校を開いた。そして事件が起きまして、これは、ここでくどくど申しませんし、司法がそれを裁断したわけでありますけれども、私はやはりちょっと違うなと思います。・・・

・・・例えば今、教育基本法で日の丸君が代の問題いろいろありますが、こんなものは本当に一つのメタファーでしかなくて、もっと大事なことは、やはりその教育法で愛国心なんてことを言い出すと、それにアレルギーを起こすようなばかな政党もある。愛国心がだめだから祖国愛にしよう、なんでもいいんです。国に対する本当の愛着ができるかと、ありはしませんよ、そんなもの。そういう教育をしていないのだから。・・・


●教育庁報より
 石原知事は、「最近多発している痛ましい出来事は、狭い意味での教育の所産だけではない。子どものしつけや教育の責任者は、私は親だと思う。私たちが預かっている子どもだけでなく、親の世代にも我慢のできない人が非常に増えてきた。動物行動学者のコンラッド・ローレンツは、『子どものころにある種の肉体的な苦痛を味わったことのない人間は、大人になって非常に不幸な存在になる』と言っている。子どものときに味わうべき苦痛というのは、ものを我慢するという習慣である。大脳生理学的に脳幹論というものがある。脳幹とは、人間としての情緒・感性というものの発露の根源になるという働きをするものであるが、子どもたちは、津波のように押し寄せる情報の氾濫にさらされ、その情報の整理・吸収のために大脳ばかりが大きくなり、脳幹がやせ細る。例えて言えば、ある年いつになく実を多くつけたりんごの木が、台風が来たときに、なりすぎた実の重みに耐えかねて幹が折れ、木そのものが失われるようなものだ。脳幹を鍛え直すためには、子どもたちに我慢をさせるという習慣を身に付けさせなければいけない。」と述べ、さらに「今、小学校の英語教育というものが盛んに言われているが、語学の勉強について言えば、私は子どもたちの日本語の力をもっと高める勉強をさせ、本を読ませる習慣を付けさせることが重要と考える。最近ではインターネットや携帯で文字を打ち込んでコミュニケートすることが文字というものを再認識させてきた。教育をとりまく状況は常に変化しているが、東京都教育委員会は、優秀な委員を迎え積極的に様々な施策を行っている。皆さんは、それぞれの学校の最高責任者として、職責を果たしていただきたい。」と話されました。

■鳥海巌 教育委員の発言

鳥海委員については、毎日新聞でも報道されている通り、明確な改憲・教育基本法改正の発言をしていますが、教育庁報では曖昧な抑えた表現に修正されています。
 実際には「憲法とかあるいは教育基本法の改正というものを急ぐべきであるというように思っておるわけでございます。きょうはそれをもって私の言葉としたい」と明確に述べていますが、教育庁報では、「この国の形、国家理念というも
のを、今は変えるべき時にきている」の部分だけを引用しています。
 また、財界は教育基本法改正を急ぐべしとの提案をしていると繰り返し述べていますが、教育庁報では、「教育基本法についても様々な議論がなされている」と修正しています。
 また、毎日新聞では報じられていませんでしたが、ホリエモンを批判するとともに、「格差社会」論への反発を示しています。 「小泉さんはこれだけの経済の立て直しをしたという点からみると、私は百点満点だというふうに思っております。」と小泉首相を評価しています。ホリエモン批判と小泉改革百点満点の部分は、教育庁報ではカットされています。


●全記録より
4月6日
・・・私はやはり憲法とかあるいは教育基本法の改正というものを急ぐべきであるというように思っておるわけでございます。きょうはそれをもって私の言葉としたいんでございますけれども。既に教育基本法に関しましては、あるいは憲法に関しましても経済界では既に同友会にしてもあるいは経団連にしても商工会議所にしても既にこれを進めております。近く商工会議所はそういう意味でこの教育基本法をすぐにやるべしというような言葉をこれから発信するというように聞いておりますが、我々教育の現場におります我々もぜひそういうことで協力していきたいなというように思って降りますので、皆様のご支援もまたよろしくお願いいたしたいと思います。以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)・・・

4月10日
 鳥海でございます。最近、自分を神と称するホリエモンなる若者が出現いたしまして、私が非常に驚きまし たのは、人間がそれこそ神のごとくすべてを律することができるのかということもさることながら、サムシン ググレイトに対する畏怖の念というのが全然ない、こういう若者が出てきたということは私も非常に衝撃的で した。金でものが何でも買えるのだというような考え方を平然として言ってのける、心が貧しいといいますか 、本当にこれもまた驚きの一言に尽きるわけでございます。我々20世紀から21世紀にかけて生きる、私も既 に73でございますけれども、過去を振り返ってみますと過去というものは絶対に人間は帰られない。変えられるのは未来だけなんですね。そういうことを考えますと、私は少なくとも私の目の黒い間は教育の改革という ことに全身全霊をもって当たろうというように考えております。

・・・このような改革が始まりますと、今度は格差社会が広がってきているということも騒ぎ始めておる手合いがたくさんおります。それに世直しの騎士のように思っているメディアがまた拍車をかけているという現状ですけれども、世直しとか改革派わずか始まったばかりです。それは小泉首相のことをいろいろ言う人もいるでしょうけれども、小泉さんは私はこれだけの経済の立て直しをしたという点からみると、私は百点満点だというふうに思っております。
 このような改革の中で、どうしてそのような格差社会が広がっているのかということを私は反論したいんですね。格差社会が広がっているということであれば、その実態を詳細について説明すべきです。またそれは数字的な根拠を持ったものでなければならないと思っております。それからまたその要因が何であるのかということも言うべきでしょう。
 さらには、私は会社でも言っておるのですけれども、反対をするのはいいけれども、必ず対案を出せと。反対をするものは必ず対案を出せということを言っておりますけれども、やはりそういう人たちはどうしたらいいのかということの反論の対案を出すべきだと思っております。
 さて、この国づくりといいますか、国をどうしたらいいのかというのが我々の課題だと思うんですけれども、この国づくり、国のありよう、あるいは国の形、それから国家理念というものを今は変えるべきときに来ているのではないかと思います。
 ただ、非常に悲しいことに議員さんたちの目は常に一般社会の選挙民の方に向いておりますから、なかなかこれに手をつけようとしない。だけれども、我々はやはり憲法を変え、教育基本法も変えていかなければいけないというように思っています。
 このような教育改革については、既に経済界の3団体、すなわち経団連、同友会、それから商工会議所、この3団体が相当早くから既に数々の提案をしてきております。
 聞くところによりますと、9割以上の中小企業が参加している商工会議所は、近くこの教育基本法の改革を急ぐべしという提案をなすように聞いております。 我々教育委員会、あるいはこの教育の現場でもって非常に重要な役割を占めている校長先生方も一緒になって、この国のありよう、あるいはこの国の国家理念というようなものを我々ははっきりとここで示していく必要があるのではないかと思っております。・・・


●教育庁報より
 鳥海委員は、教育改革の仕組みづくりを進める中で、学校の情報を地域に公開していくことで展望が開けると話されました。
 我々は20世紀から21世紀にかけて生きているわけですが、過去を振り返ってみますと、人間は、過去というものを絶対に変えられない、変えられるのは未来だけなのです。ですから、私は、教育の改革ということに全身全霊をもって当たろうと考えております。
 今企業でもコンプライアンス(法令遵守)というのが非常に重要視され、不祥事件が起こるたびにコンプライアンスということが叫ばれます。教育界においても、不祥事件が起こる場合があるわけですが、コンプライアンスの考え方からいえば、組織というものは常に、不祥事件が起こることを前提として、それをチェックし、阻止するシステムを作っておく必要があります。そのシステムが働いていないと、全く歯止めがきかないということになってしまうのです。
 私は、教育委員となってからの7年間、ずっと教育改革のための仕組みづくりということをやってまいりました。教育という場の組織の仕組みづくりとして、学区制をなくすなどいろいろなことをやりました。その中で東京都でも学力テストをやったのですが、校長先生の中には、学力テストの結果を公開しないでほしいという方がまだいらっしゃいます。しかし、もし公開せずに地域社会からその理由を尋ねられた場合に、なにか問題があるのではないかということに対して、校長先生はどのように答えるのでしょうか。学区制がない今では、その地域にいる親も、自分の子どもを外の地域へ移していくということを考えざるを得ないと思います。校長先生は、学力問題の現状を地域に訴えて、自分なりにどのように学校を改革していくのかを具体的に説明する方が、展望が開けてくるのではないでしょうか。
 この7年間の決算として、公立学校が少しずつ息を吹き返してきたことは私にとっても非常にうれしいことです。私立学校も、公立学校に対抗してこれからも挑戦してくるでしょう。そういう競争の中で、日本の将来を背負ってくれるような子どもたちが育っていくのではないでしょうか。
 今日では、市場主義とグローバリズムがどんどん加速されています。世の中は多様化し、複雑化し、複合化し、多元化しています。特に自然、環境、経済といったものが渾然となって我々に問題を投げかけてきます。当然、光と影という部分が出てくる、この光と影をどのように解決していったらいいのでしょうか。世界の識者たちが、特に影の部分を改革するには、ひとつは教育の改革であり、ひとつは市民社会の形成が必要であるということを言っているのは、非常に傾聴すべき意見だと思います。
 日本人は半世紀の間、物の豊かさというものを享受してきましたが、それによって古きよき伝統、文化、恥、誇り、品格、アイデンティティーというものを失ってきたことも厳然たる事実です。このような改革の中で、格差社会が広がっているということを言う人もいます。そういう人に、私は反論したいと思います。格差が広がっているのであれば、その実態を詳細に、数字的な根拠をもって具体的に説明すべきです。さらには、反対するならば、必ずどうしたらいいのかという反論の対案を出すべきです。
 さて、この国の形、国家理念というものを、今は変えるべき時にきているのではないかと思います。その中で教育改革は大きな課題であり、教育基本法についても様々な議論がなされています。我々教育委員と、教育の現場で非常に重要な役割を占めている校長先生とが一緒に、国家理念というものを示す必要があるのではないでしょうか。これからの21世紀には、日本がこの60年間で作り上げてきた非常にすばらしい自由・民主・平和主義という国家理念を示し、日本人の存在を世界に訴えていくべきだと思います。それが日本の社会そのもの、日本の国家そのものの格を上げていくということだと思います。我々委員一同、校長先生方の自立的・自主的な教育活動を強く支援して行こうと考えています。


■米長邦雄 教育委員の発言

※今回、一番、過激な言葉を連発したのは米長委員です。
 管理主事や経営支援センターについて、これまで教育委員会定例会など発言してきた主張を繰り返しました。
 これまで以上に刺激的な言葉を使っていますが、問題になりそうな部分は削除され、都教委の公式見解の範囲に無難に修正されています。
 「海軍と陸軍」「校長先生を支配する、経営支配センターとなるのか」「行政職の教師と、校長になる教師と、とにかく出たり入ったりということを強く進言」「東京都のシステムというのですか、現状は、教育基本法に反している」「行政による不当な支配を許してはならない」「軍隊組織を民主化」「教育というものが行政からの植民地化されたものを独立させるということが私のこれからの教育委員の立場」など、全てカットされています。


●全記録より

4月6日
・・・鳥海委員は7年目に入りまして、最初は教育庁の人と言葉が通じなかった、しかし今は通じるようになったと 。しかし、マイクの通りは余り通じなかったようでありますけれども。しかし、鳥海さんは幸せであります。 私は心が通じない一部の職員がいる状態であります。いや、委員長どうか笑いをこらえていただきたいと思い ます。


4月10日
・・・2つめにお願いしたいことは、校長先生に伝えるときに気を使ってくださいねと指導部長に申し上げました。これはどういうことかと言いますと、私が教育委員になって6年たちましたけれども、この間石原都知事も申し上げましたけれども、東京都の教育委員会の中には軍隊が2つあります。海軍と陸軍です。海軍の方はやっと民主化されました。
 これが管理主事の体質であります。
 この中に管理主事の方がいらっしゃるから、いろいろこういう本当のことを申し上げてどうかと思うんですけれども。
 しかし陸軍だけはどうしても私一人の力ではどうにもなりません。知事の力が必要でございますということを申し上げました。
 この指導主事、指導部の体制そのものが陸軍であると、こういうふうに知事に進言した、恐らく進言された知事の方もびっくりされたと思うんですね。この組織が解体できないのであれば、私は教育委員をやっていても仕方がないから私はどうしたらいいのでしょうかということを申し上げましたところ、先ほどちょっと知事が、米長さん、あの思いつめたものはどうしたねというから、いや解決できませんと言ったら、鳥海委員がこの人はどうも思いつめて何かといったら、知事は天才は思いつめるからなというふうなことをおっしゃっていました。天才ではありませんけれども。
 私は都立高校の例でお話させていただきますと、今度経営支援センターというものをつくりまして、3ヶ所、支所も入れますと6ヶ所ということになるんでしょうか、これはまさしく200校の校長先生を支援するのにこの6ヶ所の支援センターを設けたということは、小中学校の先生に対する地教委と同じような規模だろうと考えております。
 ですから、この支援センターをどういうふうに活用していくかということが非常に大事なことであろうと。つまりこれからの東京都の教育会〔*原文ママ。教育界?〕は、何が一番大事かというと、この支援センターがうまく機能して校長先生の味方になるのか、それとも校長先生を支配する、経営支配センターとなるのかというこれが大きな分かれ道で、この1年間非常に大事なところですからこれを頑張っていきたいと考えております。
 私が提案したことは、行政職の教師と、校長になる教師と、とにかく出たり入ったりということを強く進言いたしました。副校長、教頭で教育長〔*原文ママ。教育庁?〕の中に入り、そしてまた指導主事管理主事、あるいは学務部に入っている人がまた外に出て、そしてまた新宿の方に戻り、そしてまた校長として外に出るというふうに行ったり来たりすると、行政職に最初から最後まで、最初は教師で入りましたけれども、しかし途中から行政職となって60歳を迎えるということはもうなしにしようよと。
 これには一番大きなものは何かというと、部長と校長とどちらが上かということであります。私はそれぞれの指導部長にしても人事部長にしても、教師は今のところは指導部長しかなれないポストではありますけれども、部長と校長を比較してときに校長の方が上であるという発言をしたのです。つまり、教育委員は校長にお仕えするのが仕事であって、校長にいばったり、あるいは校長を支配するのが仕事ではない。しかし組織論から言って部長の方が校長より上であるとこういう見解を示しているようでありますけれども、ここに風穴をあけて、校長先生が教育長は無理にしてもせめて職員課長くらいまでは取らなければならないと。教師もです。そのためにどうしたらいいかと言いますと、きょうここにお集まりの皆様方が、一致団結して、校長同士の連帯感をとにかく強めて、そして都庁の中に入り、行政職に入り、また校長あるいは教頭として出るときも、この主幹を含めて皆様方が教育というのは現場が一番大事なことだと。そのことを徹底的に教えていただきたいと思うんです。
 12Aというところから言ったり来たりするから米長委員、それは杞憂ですよと、やがてそうなるのですよと言うのですけれども、私も教育委員をこれから30年やるわけではありませんのでね。私がいる間にあかしをみせてくれないか。
 このことを申し上げているのですけれども、なかなかうまくいかないのです。
 これは校長先生方の団結力によるものだと。私はかねがね現在の東京都のシステムというのですか、現状は、教育基本法に反しているのではないかと思うんですね。教育基本法の第10条には、教育というものは、不当な支配に屈してはならないとこう書いてある。
 それでこの不当な支配というのは何かというと、大概はイデオロギー、あるいは宗教というふうに解釈している人が多いのですが、本当は行政であります。行政による不当な支配を許してはならないと、教育基本法の第10条に書いてあるの
です。
・・・校長先生同士が横に手をたずさえて、ともに助け合いながら教頭、副校長あるいは校長が行政職と行ったり来たりすることによって、この軍隊組織を民主化してそれで最後に校長と指導部長がどっちが上なのだと言ったときに、間違いなく校長が上であるという、こういう自負心を持っていただきたい。
・・・何としても私自身がやれることは教育というものが行政からの植民地化されたものを独立させるということが私のこれからの教育委員の立場だろうと、仕事だろうと固く信じているんですね。・・・


●教育庁報より

 米長委員は、教育は現場が一番大事であり、今年度開設された学校経営支援センターが校長先生を支援していくと話されました。
 私はゆとりということについてお話をさせていただきます。平成19年度から、全都立高校において奉仕活動を必修科目として取り入れることになりました。この奉仕活動を必修化するに当たって、私は二つのことをお願いしました。
 一つは、奉仕体験活動によって何が得られるのか、何がねらいかということを明確にしていただきたいということです。奉仕という科目をきちんと教科の中に取り入れていくということを、明確に打ち出してほしいと申しました。奉仕活動を通して、慈悲の心、あるいは思いやりのある人間を育てることができると、私は固く信じております。
 皆さんは、奉仕活動の中に公衆便所の清掃という運動があるのを御存知でしょうか。横浜の中田市長もこの会に参加されていますが、トイレを皆で磨き上げ、その後に報告会、反省会をするという活動があるのです。もしこれを強制的にやらせると、恐らく人間の尊厳を傷つけるような命令ということになるだろうと私は思います。それを、自ら進んで掃除をする、これが奉仕の究極のものです。ゆとり路線をなくしていこうという風潮のある中で、奉仕活動をきちんと教育課程に位置付けていただきたいと思います。
 奉仕活動を取り入れるには、学校の実力、教師の実力が問われるのであって、学校現場では校長先生も御苦労されると思います。
 そこで二つ目にお願いしたことは、校長先生に気を使ってくださいということです。都立学校の例でお話しますと、都教育委員会は今年度、学校経営支援センターを、支所を含めて6箇所開設しました。これは、約260校の校長先生を支援するために設けたもので、小中学校に対する地教委と同じような規模と考えています。この支援センターが本当にうまく機能して校長先生の味方になるために、どのように活用していくのか、この1年間が非常に大事なところです。
 今後は、学校経営支援センターに配置された支援チームと教育委員が、直接協力しあって校長先生を支援していきます。校長先生には、自分の学校の中で起こっている困ったこと、心配していること、あるいは不祥事などを、全部本音で話してもらいたいと思います。全部話してもらった上で、助けていこうと考えています。校長先生の中には、自分の学校で精一杯だという方もいらっしゃるだろうと思います。しかし、一方で力のある校長先生もいらっしゃいます。校長先生同士、協力しあうことで教育現場が良くなるのだと思います。今日ここにお集まりの皆様方が、校長同士の連帯感を強め、教育というのは現場が一番大事だということを、徹底させていただきたいのです。
 私は、近いうちに「不運のすすめ」というタイトルの本を出す予定です。今、勝ち組とか負け組とかいろいろ言われていますが、そうではなくて、本当の幸せ、達成感というものは何かということを説いた本です。ホームページでもいろいろなことを書いていますが、自分なりの情報を発信する中で、いつも申し上げているのは、教育委員の仕事は、校長にお仕えすることだということです。
 私が教育委員になって、この6年間で本当に東京都の教育が良くなったのかどうか、疑問に思っているのですが、制度としてはきちんとつくり上げたはずです。あとは校長先生御自身が、これからの教育のために、校長としての自覚、自信、連帯感というものを持って、主幹、副校長を目指す若い人たちを支援、指導してください。校長先生は自信を持って、これからの教育現場をしっかりと支えていっていただきたいと思います。

■中村教育長の発言

中村教育長は、「都民に信頼される学校運営の確立」として、「今後とも入学式、卒業式等の適正な実施につきまして引き続き各学校における適切なご指導をよろしくお願い申し上げます」、などと述べています。例年、教育長発言は、公式見解どおり、原稿を読み上げるているような内容なので、教育庁報での修正はほとんどありません。

●全記録より
4月6日
・・・最後に、都民に信頼される学校運営の確立に関連してお話をさせていただきます。入学式あるいは卒業式などでは学習指導要領に定められているとおり、厳粛かつ静粛な雰囲気の中で新しい生活の展開への動機づけとなる大切な儀式的学校行事でございます。ごく一部に教員の不適切な行動が見られますものの、各都立学校ではこの意義を踏まえた国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施されているところでございます。また、区市町村立学校におきましても各教育委員会と校長先生、教職員の方々のご努力によりまして適正に実施されていると聞いております。今後とも区市町村教育委員会におかれましては入学式、卒業式等の適正な実施につきまして引き続き各学校における適切なご指導をよろしくお願い申し上げます。

4月10日
・・・最後に国旗国歌の問題につきましては、各学校それから区市町村の小中学校におきましても、各校長先生方のご努力によりまして、適正に運営されてきているということで、この場をおかりして、感謝を申し上げます。


●教育庁報より
 最後に、都民に信頼される学校運営の確立についてお話します。入学式や卒業式等は、学習指導要領に定められているとおり、厳粛かつ清新な雰囲気の中で新しい生活への動機付けとなる大切な儀式的学校行事です。ごく一部の教員に不適切な行動が見られるものの、各都立学校ではこの意義を踏まえた国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施されています。また、区市町村立学校においても、各教育委員会と校長、教職員の方々の努力により適正に実施されていると聞いています。今後とも、各学校においては、入学式・卒業式等の儀式的行事における国旗掲揚・国歌斉唱の適正な実施について、引き続き適切な指導をよろしくお願いします。
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