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石原都知事が任命した
東京都の教育委員ってどんな人たち?

2007.1.8作成
2.25更新

地方教育行政法(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)
(任命)
第4条 委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化(以下単に「教育」という。)に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。
4 地方公共団体の長は、第1項の規定による委員の任命に当たつては、委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するとともに、委員のうちに保護者である者が含まれるように努めなければならない。
 地方教育行政法には、任命について上記の条文がありますが、石原都知事は保護者を任命しない一方で、財界(高齢・男性)を二人も任命するという、偏向した人選を行っています。かつては、委員の中に、女性の弁護士もいましたが、いまはもういません。
 このページは、石原都知事が任命した教育委員たちの発言を集めたものです。

【ご注意を】
 ここには音声ファイル(mp3形式)を置いてあります。Media Player RealOne Playerなどのソフトが必要です。
※拡張子mp3で終わるリンクは、クリックすると、ファイルがダウンロードされ、音声が流れます。
←このマークをクリックすると、実際の発言の音声を聞けます。

※以下の文字情報は、都教委の記録によるものです。実際の音声とは、若干、異なる場合があります(例えば、語尾の「ですね」カットなど)。


2004年4月8日 
●鳥海巌 教育委員「がん細胞は徹底的につぶす」 〔449KB 1分30秒〕

http://suruke.web.fc2.com/mp3/040408Toriumi.mp3
それから、今度は国旗・国歌問題でも言われたのですけれども、いいじゃないかと、わずかの人が例えそのときに立たなくても、あるいは国歌をうたわなくてもいいじゃないのという説が論説の中にございますけれども、これは改革というものに本当に取り組んだことのない人の言う言葉だと私は思います。企業でもそうです。改革派と言われる人が初め10%くらいでしょう。そういう方が出てきて企業を改革していく。そのうちに30%ぐらいの応援団が出てくる。ところがやはりわずかの少数派がおって、それはやはり改革が行われない方がいいわけですからあくまでも反対する。だけれども、これは徹底的につぶしませんと後で禍根が残ります。特に半世紀の間つくってきているがんですから、その痕跡を残しておけば、必ずこれは自然増殖をしていくということだと思うのです。反対勢力にとってみれば、それを願ってもないということで待っているわけですから。

2004年4月9日
●鳥海巌 教育委員「がん細胞は徹底的につぶす」 〔201KB 51秒〕
http:/suruke.web.fc2.com/mp3/040409Toriumi.mp3
あいまいさを改革のときには絶対残してはいけない。この国旗・国歌問題、100%やるようにしてくれということを事務局にも教育長にも言っているわけなのですけれども、1人の人、あるいは2人の人だからいいじゃないのと言うかもしれませんけれども、改革というのは、何しろ半世紀の間につくられたがん細胞みたいなものですから、そういういところにがん細胞を少しでも残すと、またすぐ増殖してくるということは目に見えているわけです。徹底的にやる。あいまいさを残さない。これは非常に重要なことだと思っております。


2004年4月9日 
●石原慎太郎 都知事「地方は全部東京のまねをする」 〔117KB 23秒〕
http://suruke.web.fc2.com/mp3/040409Ihihara.mp3
(今度、私よりも非常に熾烈ではっきりしている横山教育長が、教育委員の皆さんと頑張ってくれて、当然のことですけれども、公立の学校の中で、入学式、卒業式に、一つの規範として、ルールとしてうたっていただく。)《中略》
やはり今度の教育委員会のあの毅然とした態度というのは大変大きな効果を持つと思うし、5年10年先になったら、恐らくずっと首すくめながらながめている地方は、全部東京のまねをするでしょう。私はそれは東京から日本を変えることになると必ず思います。


2004年4月9日 
●米長邦雄 教育委員「校長に盾突く者は徹底的に」「とにかく一年で異動させる」 〔408KB 1分44秒〕
http://suruke.web.fc2.com/mp3/040409Yonenaga1.mp3
 戦国時代に何をしたかというと、校長先生は一国一城の主ですから、とにかく城主を助けると。その1点でやってまいりました。この数年間に東京都の教育委員会が行ったことは、とにかく校長を助ける、味方をする。校長に盾突く者、あるいは校長をいじめる者、そういう者は徹底的に教育委員の権限において、決定的に校長のためにやったずであります。
(略)
一番大きなことは、教師の異動要綱の見直しですけれども、これは1年で出せるという画期的なルールの改正であります。
(略)
必ず出してください。なぜならば、来年の4月1日に1年でも出し、続いてもう1年ごとにどんどんぐるぐる回る教師が存在して、ではその人たちはどうなるのだと。そういうことは校長先生は考えてなくていいのです。先生はご自分の学校だけ考えてください。とにかく1年で出す。来年の4月1日の人事が、これが戦国時代の最後の一番大きな闘いになるのであって、これを校長先生に毅然とした態度でやっていただかないと何にもなりません。


2004年4月9日 
●米長邦雄 教育委員「男女混合名簿に屈するのかは校長に対する踏み絵」 〔1185KB 4分02秒〕
http://suruke.web.fc2.com/mp3/040409Yonenaga2.mp3
しかし、一番大きな問題は何かといったら、男女混合名簿です。これは、徹底した闘いになるはずです。なぜならば、今回はいろんなところがこれ1点に集中してきたんですね。そういう意味で本来ならば人事部と争うべきところが、言うなれば東京都教育委員会は不戦勝に終わったんですね。勝ったという言い方はおかしいのですが、とにかく言ったとおりになりましたけれども・・・・・・。すべては今度は指導部の方に戦いをいどんできたのです。授業内容です。まず、名簿については正しい名称は「女男混合名簿」と言っているはずです。(笑い)
 皆さん、今ここで笑っているうちはいいのですけれども、「女男混合名簿の導入」ということを求めてきますので、これについては校長が毅然とした態度でこれをはねつけることができるかどうかということが、決定的なことであります。これは校長に対する踏絵です。ジェンダーフリー思想に取り込まれるのか、毅然とした態度でこれを追い返せるのかと。
 東京都の指導部は、かつてはこれはいいというふうに言っておりましたけれども、昨日の東京都教育委員会で、指導部長が正式な回答を示しております。議会でも取上げられていますし、「指導部は校長の自主判断に任す」と言っている。(笑い)これが正しい答えなのです。しかし、校長の自主判断に任すと言ったときに、校長先生が一人で支えきれますか。このときにいかなることがあっても一緒に闘いますよと、これは東京都教育委員会の姿勢であります。
 昨日は区市町村の教育長あるいは教育委員会の集まりがありまして、やはりお話することができましたけれども、この混合名簿を押し付けたりするような教育長、あるいは指導室長がいたら、それは越権行為であり違法行為であるから、すぐに校長先生、東京都の方へ出してください。これは厳重注意ということになります。越権行為ですから。
 校長の自主判断ということは、お任せしますという意味よりも、困ったことがあるならばお手伝いさせてくださいという意味でもあるのです。これは徹底した闘いになりますので、どうか頑張っていただきたいのです。
 校長の自主判断といっても、これは非常に難しいのです。皆さん方がやることは2つです。女男混合名簿に屈するな。もう一つは、出したい教師は必ず書いて出してくれ。そしてそれが東京都の教育委員会までストレートに上がって来るということをやっておりますので、区市町村の中でそれを押さえにかかる、あるいは校長の反対側に回るという人がいたとすれば、それは厳しく目を光らせて、校長の味方になりますので、ここを頑張っていただきたいと思います。

2006年4月6日 
●鳥海巌 教育委員「憲法・教育基本法の改正を急ぐべき」 〔365KB 1分14秒〕
http://suruke.web.fc2.com/mp3/060406Toriumi.mp3

私はやはり憲法とかあるいは教育基本法の改正というものを急ぐべきであるというように思っておるわけでございます。きょうはそれをもって私の言葉としたいんでございますけれども。既に教育基本法に関しましては、あるいは憲法に関しましても経済界では既に同友会にしてもあるいは経団連にしても商工会議所にしても既にこれを進めております。近く商工会議所はそういう意味でこの教育基本法をすぐにやるべしというような言葉をこれから発信するというように聞いておりますが、我々教育の現場におります我々もぜひそういうことで協力していきたいなというように思って降りますので、皆様のご支援もまたよろしくお願いいたしたいと思います。以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

2006年4月10日 
●石原慎太郎 都知事 「戸塚ヨットスクール校長のすばらしさ」 〔671KB 2分17秒〕
http://suruke.web.fc2.com/mp3/060410Ishihara.mp3

実は私はある新聞社に月1回担当しているコラムにも書きましたガ、この4月いっぱいで私が後援会の会長をしている戸塚宏君が出所して出てきます。
 これはかって有名な戸塚ヨットスクールで、どうにも、親も学校も周辺が手に負えなくなった子供を預かって、本当に奇跡のように短期間に再生蘇生させてきた男です。
 私自身もヨット乗りで世界中の海を小さな船で乗り回して、太平洋も自分の船で3回渡ってきましたが、自分自身の体験から、要するに相対的に眺めて、それは戸塚宏のようなプレミネントな本当に実力のあるスイマンというのは滅多にいるものではないと思います。
 彼のそういうすばらしさをここでくどくど申し上げる必要はありませんけれども、彼自身がそういう体験を含めて世相を憂いながらあの学校を開いた。そして事件が起きまして、これは、ここでくどくど申しませんし、司法がそれを裁断したわけでありますけれども、私はやはりちょっと違うなと思いますが。その非常に、異常な不幸と不幸がぶつかって、特に間に入ったお医者さんのハンドリングが悪くて、ああいう子供が死亡するという事件で親がそれを訴えて戸塚君に責任をかぶされたわけです。
 このことについて、私はここで申しませんが、彼がやってきた仕事の本質というものは、実はそのどうしようもない子供をたくさん預かってそれを再生させていく、その事実というものを間近でつぶさに眺めてきた、あの学校のあった所轄の署長さん、歴代の署長さんが本当に端倪すべからざる事実として長めてきて、ひそかに賞賛してきた。

2006年4月10日 
●鳥海巌 教育委員「小泉改革は百点満点」 〔761KB 2分35秒〕
http://suruke.web.fc2.com/mp3/060410Toriumi1.mp3
日本人は半世紀の間、物の豊かさというものを享受してまいりました。だけれども、それによって古きよき伝統とか文化とか恥とか誇りとか品格、アイデンティティというものを失ってきたこともこれは厳然たる事実であります。
 このような改革が始まりますと、今度は格差社会が広がってきているということも騒ぎ始めておる手合いがたくさんおります。それに世直しの騎士のように思っているメディアがまた拍車をかけているという現状ですけれども、世直しとか改革派わずか始まったばかりです。それは小泉首相のことをいろいろ言う人もいるでしょうけれども、小泉さんは私はこれだけの経済の立て直しをしたという点からみると、私は百点満点だというふうに思っております。
 このような改革の中で、どうしてそのような格差社会が広がっているのかということを私は反論したいんですね。格差社会が広がっているということであれば、その実態を詳細について説明すべきです。またそれは数字的な根拠を持ったものでなければならないと思っております。それからまたその要因が何であるのかということも言うべきでしょう。
 さらには、私は会社でも言っておるのですけれども、反対をするのはいいけれども、必ず対案を出せと。反対をするものは必ず対案を出せということを言っておりますけれども、やはりそういう人たちはどうしたらいいのかということの反論の対案を出すべきだと思っております。


2006年4月10日 
●鳥海巌 教育委員「憲法を変え、教育基本法を変え」 〔649KB 2分12秒〕
http://suruke.web.fc2.com/mp3/060410Toriumi2.mp3
 さて、この国づくりといいますか、国をどうしたらいいのかというのが我々の課題だと思うんですけれども、この国づくり、国のありよう、あるいは国の形、それから国家理念というものを今は変えるべきときに来ているのではないかと思います。
 ただ、非常に悲しいことに議員さんたちの目は常に一般社会の選挙民の方に向いておりますから、なかなかこれに手をつけようとしない。だけれども、我々はやはり憲法を変え、教育基本法も変えていかなければいけないというように思っています。
 このような教育改革については、既に経済界の3団体、すなわち経団連、同友会、それから商工会議所、この3団体が相当早くから既に数々の提案をしてきております。
 聞くところによりますと、9割以上の中小企業が参加している商工会議所は、近くこの教育基本法の改革を急ぐべしという提案をなすように聞いております。 我々教育委員会、あるいはこの教育の現場でもって非常に重要な役割を占めている校長先生方も一緒になって、この国のありよう、あるいはこの国の国家理念というようなものを我々ははっきりとここで示していく必要があるのではないかと思っております。・・・

▼ 【2004年度 教育施策連絡会】 都知事・教育委員の発言の記録

▼【2006年度 教育施策連絡会】 都知事・教育委員の発言の記録
▼都教委第7回定例会(03/04/10
⇒卒・入学式の実施状況の報告。
指導部長「国歌斉唱時に一部の教員や生徒が起立をしない」
米長委員「仰げば尊しを歌っているかも調査していただきたい」
横山教育長「そもそも国旗・国歌については強制しないという政府答弁から始まっている混乱なのです。」
鳥海委員「だから政府答弁が間違っているのです。」
鳥海委員「教育基本法は恐らくすっと通るでしょう。財界人も、ほとんどの人がみんな賛成なのです」

▼教育施策連絡会(03/04/21)

⇒全都校長対象の教育施策連絡会。委員からは、教育基本法10条、国旗国歌、異動要綱などについて発言。
鳥海委員「不起立教員のいる学校は調査して名前を公表しなさい」
米長委員「石原知事は、この間、支持率七十% で当選しました。鳥海委員と私は、その「東京の問題を考える懇談会」の十数人のメンバーでもあり、そこから教育委員ということで任命されたものであって、普通の教育委員と、また今までと成り立ちが違う二人です。」
米長委員「一番大事なことは異動要綱」

▼都教委定例会(04/5/24)
⇒米長委員 「(卒業式・入学式で教職員に)職務命令書を出さなかった校長がいる。規律違反だから(都教育庁)指導部長が呼びつけて、高等学校教育指導課長の前でわびさせることをやってもらえるか」
 内館牧子委員 「(職務命令を出さなかった校長たちは)ばかな人たち」(同。米長氏の発言に続けて) 
※赤旗にはこのように報じられていますが、内館発言は会議録に見当たりません。また改竄されたのでしょう。

【発言録】米長邦雄教育委員(02/10/16作成)

▼天皇発言「強制でないことが望ましい」   米長邦雄・都教育委員に園遊会で



▼都教委第9回定例会(03/05/22)
⇒卒・入学式の実施状況)「式次第に国歌斉唱と書いていない」「フロア形式」など、一覧表で各都立学校・区市町村ごとごとに細かに報告。
▼都教委定例会(03/10/23)
⇒10.23通達を決定した際の記録です。
▼都教委定例会(03/12/18)
⇒直接「日の丸・君が代」問題ではありませんが、「教育ビジョン」中間まとめについてです。
▼都教委 臨時会(04/03/30)
⇒卒業式の実施状況について

「石原都政下の教育」で何が起きているのか
−新自由主義と国家主義を先導する都教委
(炭谷昇/情況 2005年7月号)より

U、石原都政下の教育委員会 教育委員にスポットをあてて

 では、なぜこれほど「暴走」ともいえる動きが起こるのか。その要因の一つは、「石原色」の強い教育委員だろう。地域の声を反映した教育委員が合議により方針を決め、事務局が実務を進めるというのが本来の教育委員会制度だ。多くの地域では、教育委員が名誉職のようになっているのが実情だが、東京都の委員たちは実に活発だ。しかし、ここで問題なのは教育委員会が「政治」と一体化している点である。教育委員会は、監査委員会などと同様に、政治に直接左右されないよう、一般行政(首長部局)からの独立が原則だ。議員の口出しに対して、教育委員会が「防波堤」となることで、学校現場の自律性が確保されてきた。ところが、現在の都教委は知事や右派議員の意向がそのまま政策となり、ストレートに学校現場まで降りてくるという構図になっている。これは、「介入」とか「癒着」というレベルを超えている。
 教育委員の顔ぶれを見ていこう。まず、国家主義的な政策を象徴しているのが、米長邦雄だ。99年12月より教育委員に任命され、現在、二期目だ。米長は一般的には将棋の名人として知られているが、石原が「素人だから」再選したと言っているように、「素人」をいいことに教育行政の常識を無視して役人たちが躊躇するようなことをねじこんでいくのが役割だ。具体的な主張としては、校長権限強化・反「ジェンダーフリー」・国旗国歌徹底だ。イデオロギッシュな主張が多く、特にジェンダーフリー関連の話題になると異常にハッスルする。例えば、校長たちを前に「一番大きな問題は何かといったら、男女混合名簿です。これは、徹底した闘いになるはずです。」「これは校長に対する踏絵です。ジェンダーフリー思想に取り込まれるのか、毅然とした態度でこれを追い返せるのかと。」と発言している(04年4月8日教育施策連絡会)。
 一方、新自由主義的な政策を象徴しているのが丸紅元会長の鳥海巌だ。一橋大学出身で石原と親しく、99年10月より教育委員。定例会では何かにつけて「企業では」「石原都知事の改革で」といった発言が多く、「企業の論理」により「石原改革」をともに進めていこうという問題意識が鮮明だ。したがって、役所や教育の世界の慣行・常識などは意に介さない。鳥海の経営観は、以下のような発言に象徴的だ。“少しくらい「君が代」で起立しない人がいてもよいのでは”という論調を「改革というものに本当に取り組んだことのない人の言う言葉」と批判し、「半世紀の間につくってきているがんですから、その痕跡を残しておけば、必ずこれは自然増殖をしていく」「あいまいさを改革のときには絶対残してはいけない」と強調している(03年4月8、9日の教育施策連絡会)。
 このように徹底的な米長・鳥海の意向を事務局の責任者として実行に移すのが横山教育長だ。横山洋吉は、総務局長を経て、2000年7月から教育長に就任。石原知事からの信頼も厚く現在二期目である。唯一の女性は2002年3月着任の脚本家・内館牧子だ。彼女の教育観は相撲部屋がモデルのようで、「若い人でも叩き込めば分かる」などの発言が批判されている。
 さらに、昨年、青島都政時代からの教育委員が交代し「石原色」は完成した。元早稲田大学総長の清水司は、中教審委員などを務めた木村孟に交代し、元文部官僚の國分正明は、伊藤忠出身の財界人・高坂節三へと交代した。國分から高坂への交代は、石原都政を象徴している。國分は、元文部官僚らしい言動をするため、組合や市民運動からは批判されてきた。しかし、教育行政の常識、戦後の日教組・文部省の争点を踏まえており、過剰に行政が介入することには慎重な意見を示すこともあった。一方で、後任の高坂は経済同友会・憲法問題懇談会委員長として、改憲の意見書を発表している財界の改憲論者である。

 以上のような教育委員に加え、3人の都議の存在も重要だ。石原都知事の問題発言(三国人発言・爆弾テロ発言など)のたびに、即座に石原支持集会を開いている面々である。土屋敬之(民主党)、田代ひろし・古賀俊昭(自民党)の3都議は、産経新聞と連携しつつ、国立二小・七生養護への攻撃、足立十六中事件・板橋高校事件などの中心で動いてきた。議会では右から都教委を追求し、横山教育長が「阿吽の呼吸」「デキレース」とも言われる答弁で応じ具体的な政策となっていく。

(略)
前記した高坂の教育委員選任にも「地方自治」「直接責任」に背を向ける姿勢は明らかだ。2001年、地方教育行政法が改正され、「委員の任命に当たつては、委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するとともに、委員のうちに保護者である者が含まれるように努めなければならない。」との項が追加された。「保護者や地域住民の意向をより一層的確に反映できるよう」というのがその趣旨だ。にもかかわらず、石原はあえて財界人(しかも高齢/男性)を配置したのである。
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