石原暴言資料集

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《都政の軍事化》を強行する都知事・石原慎太郎の暴言の数々

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◎昨年春の都知事選前後から本年2月末までの発言

   メモ作成者=井上澄夫、2000年4月9日

◆四年間は無競争、大統領的なことができる

【『VOICE』誌上のインタビュー、聞き手は、井尻千男(いじり・かずお)拓殖大学日本文化研究所長】

石原 知事になると四年間は自分の思うところを存分にできますから。選挙で選ばれた地位だけに、閣僚や総理大臣よりもレジテマシー(正統性)があって、ある意味では大統領的なことができますね。

(1999年8月号『VOICE』、PHP研究所発行)

◆「自分が死んじゃったら日本国家は消滅する」という自覚

(関連発言 後出の「戦争観」)

【小林よしのりとの対談から】

石原 選ばれた人間なんだという自覚があれば、誰でも何やったっていいんだって思いこむことが大事だと思うね。/ぼくなんか、自分が死んじゃったら、日本国家は消滅すると思ってるもの(笑)。それはつまり、僕の体の内に日本があるという一体感です。

(1999年8月25日/9月8日号『SAPIO』、小林よしのりとの対談)

◆憲法を破棄して、天皇を元首にする新憲法をつくり、日本を世界一の防衛国家に

【小林よしのりとの対談】

石原 日本はいつも他人頼みなんだ。でも、アメリカは自分で切り拓こうとする。そこが根本的に違うんだね。日本だってこれだけの国力があればやればいいんですよ。憲法でがんじがらめになってないで、憲法なんて破棄したらいい。あれはもう、絶対に変えられないような手続きになってるんだから、全部基本的に考え直すということで「破棄しましょう」という動議を出したらいい。それが、国会の51%の賛成と49%の反対なら通るんですよ。/新しい憲法をつくったら自衛権だってきちんと定義できる。ぼくなんかが思うのは、日本は世界一の防衛国家になったらいい、と。そして世界一優秀な戦闘機をつくってどんどん外国に売ったらいいんだ。(1999年8月25日/9月5日号『SAPIO』、小林よしのりとの対談)

【『週刊ポスト』のインタビューに答えて】

――憲法はどうあるべきか。

石原 中曽根(康弘・元首相)さんのいうように、まず民族性、日本の伝統をすべて踏まえた、日本人の感性に訴えた格調ある日本語で作ってもらいたい。

ただし、9条というのは話にならない。国家が主権を持って国民の生命と財産を守るというのは国政の大眼目でしょう。それをしなくていい、アメリカがやってやるから余計なことは考えなくていいと牙を抜かれたのが9条だよ。

(2000年1月14・21日号『週刊ポスト』、[爆弾発言]米国に都合のいい憲法では国民の生命と財産は守れない 石原慎太郎「現憲法は“改正”ではなく“破棄”せよ」)

【月刊『正論』の編集長・大島信三のインタビューに答えて】

石原 天皇ははっきり元首にしたらいいんですよ。

(2000年3月号『正論』、「永田町紳士淑女を人物鑑定すれば」)

◆あの戦争は、やっぱり感動的だった

【小林よしのりとの対談】

石原 ぼくなんか海兵の予備校のようなものだった湘南中学にいたから、もう2年早かったら実際に海軍士官として戦っていたからね。

で、最後の夏(1945年)に厚木の飛行場に学徒動員でかり出されたときのこと。1週間もすると兵隊とも仲良くなる。そしてある日、「今日、大空中戦がある」っていう密かな噂がたって、27〜28機いた飛行機が南のほうへ発進していった。でも、なかなか飛行機が帰ってこないわけだ。それで整備兵が「何時までに帰ってこなかったらもうダメだ」なんて言う。なかには木更津に降りたり

とか、あちこちでダイブ・アウトした飛行機もあったらしいけれど、電話が不便なところにあったんでそれもよくわからない。/気を揉みながら数人の予備兵が夕焼けのなか、滑走路の端でずーっと座っているわけ。それでも1機は帰ってきたんだ。それが不時着して、みんなで走り寄ってその傷ついている兵隊を運び出すのを手伝った。/あれがやっぱり国家なんだよね。だから何度思い返しても、悲しいとかなんかじゃない。やっぱり感動的だったな。あのとき兵隊さんたちと一緒にしみじみぼくは国家と座っていたんだと思うね(と、ハンカチで涙を拭く)。/それと思い出すのは、学徒動員される前に学校から帰る途中で空襲にあったことね。止まっている電車が見えたんで、そこに向かって走っていたら、麦畑のなかで敵の艦載機に襲われてさ。パァーと伏せるわけ。そこで一人撃たれるんだけど、さらにその先に森があったんで、そこまで走ろうとしたら、今度は畝の低い芋畑のところで、また次の飛行機がくるわけだ。伏せる場所がないからそのまま走っていると、今度は撃たれない。なぜだって、振り仰ぐとそれが日本の飛行機でさ。濃い褐色に日の丸が描いてある。それがとっても鮮やかで、こう

震いつきたくなるようなものがしたな。その感覚っていうのは、オリンピックで日章旗があがるどころのものじゃないんだよ。

(1999年8月25日/9月8日『SAPIO』、小林よしのりとの対談)

【福田和也との対談】

戦争というものを考えてみると、戦争を悲惨だと言って批判するのは容易なことだが、実相としては総力戦を戦うために人知を尽くした結果、さまざまな技術が進歩した。さらに戦場では愚かしいことも、崇高なことも交錯していたはずで、因果なことに人間はそうやって歴史を積み重ね進ませてきた。戦争がまったく起こり得ないというシチュエーションが、人間や国家にとって全き善かどうかは実は分からないんですよ。(2000年1月4日付『産経』、福田和也との「新春正論対談」)

◆〈戦争協力〉 自治体は、命投げ出すぐらいの覚悟が必要

【『VOICE』のインタビューに答えて】

石原 国がなくなりかねない戦争が近くで起こったなら地方自治体のエゴもあったものじゃない。そういうときはもちろん私は全面協力します。(1999年8月号『VOICE』、PHP研究所発行)

【小林よしのりとの対談】

石原 ガイドラインだって、アメリカは完全に台湾を巡る中国相手の戦争を想定している。そこで、ガイドラインに協力しない自治体があったら、中国は核を持ってるしそれがもとで国が滅びるかもしれない。ぼくは東京都知事かもしらんけれど、都の施設で一旦緩急の際には防衛に必要なものは全部使ってくれって言うよ。自治体はやっぱり、命投げ出すぐらいの覚悟が必要ですよ。

(1999年8月25日/9月8日号『SAPIO』、小林よしのりとの対談)

【月刊『正論』の編集長・大島信三のインタビューに答えて】

石原 あるメディアが各知事に「新しいガイドラインが発効したとき、どういうふうに国に協力するか」というアンケートをとった。僕だけは無条件で国に協力すると答えました。国家あっての東京ですよ。

(2000年3月号『正論』、「永田町紳士淑女を人物鑑定すれば」)

◆日本が植民地争奪戦争に参加したおかげで、戦後かつての植民地が独立した

【小林よしのりとの対談】

石原 歴史教育では、やっぱり近代史から教えていかなきゃダメだよね。でも、近代の歴史原理は帝国主義しかなかったんだ。欧州の列強に植民地にされるか植民地を持つかというね。それで日本もやったわけだけど、おかげで世界各地で民族意識が目覚めて戦後かつての植民地は独立したわけでしょう。

(1999年8月25日/9月8日号『SAPIO』、小林よしのりとの対談)

【福田和也との対談】

韓国の朴正煕大統領がこんな話をしてくれました。彼の周囲にいるかつて軍人だったような威勢のいい連中は、酒に酔ってくると「日本はけしからん」と言いだす。それに対して朴大統領は「まあ、待て」となだめながら自らの歩みを語る。朴大統領は貧農の出身で、教育を受けたいと思いながら、とても無理だろうとあきらめていた。ところが日本がその統治下で義務教育制を敷いたことで、朴少年も学校に通うことができた。また満州軍官学校を首席で卒業した彼は、その特典で日本の陸軍士官学校に留学し、卒業します。日本は朴少年のような存在にそうした機会を与えた。 「日本人は名前を変えろとか生意気なこともやったけれど、私はおおむね彼らは公平にやった」と朴大統領は述懐していたわけです。(2000年1月4日付『産経』、福田和也との「新春正論対談」)

◆露骨な反中国感情――中国は分裂させなきゃいけない

【1999年11月24日、石原知事は、4月の知事就任後初めて、警視庁を視察に訪れ、野田健警視総監から中国人の不法滞在など外国人犯罪が増えている、などと治安情勢の説明を受けた。視察後、記者団に語った言葉】

 中国人の不法滞在者が起こす犯罪があまりに多い。中国の政府がどう認識しているか知らないが、水爆を作っている国を援助するくらいなら、その分を東京の治安、中国人犯罪対策に回した方がよほどましだ。(1999年11月25日付『朝日』)

【福田和也との対談】

石原 もしアメリカに従って日本が台湾を無為に放棄したら、それは日本の、中国の属国化へと傾斜する大きな歴史的失策になるよね。

福田 それはおっしゃるとおりで、沖縄が持ちこたえられませんからね。

石原 そう。となると、私がせっかく灯台を建てた尖閣、魚釣島も簡単に海に沈み、スプラトリーや西沙諸島も完全に併合されて、中国の拡張主義政策が半ば以上成就してしまう。/とにかく彼らの拡張を阻止するために何ができるか。

ここでもやっぱり戦略なんだよ。日本の持っている力とは何か――。それはだぶついている金融資産だよ。だからいつも言ってることだけど、日本の金を使って沿海州などの中国の周辺に自治区みたいな地域をどんどん作るという戦略をすぐ行動にうつすべきなんだよ。/うまく波及すれば、日本はODAを北京ではなく、もっと効果的な所に入れられるし、中国の国内分裂の動きを加速させることができる。/分裂させなきゃいけないんだよ。少しでもその作用に日本は手を貸してやるべきだし、分裂前後のイニシアチブもとらなければならない。(2000年3月号『諸君』、福田和也との対談「戦略なき国で――座して待つか、大暴落」

【月刊『正論』の編集長・大島信三のインタビューに答えて】

――(日本での)外国人の犯罪は、中国系とイラン系が目立ちますね。

石原 昨年(1999年)十一月二十四日、警視庁へ視察に行きました。科学捜査研究所で中国人の黒社会(ヤクザの世界)の残酷さを知りましたよ。

彼らは見せしめに裏切り者の顔の皮を剥ぐんです。研究所の技術で元の顔に修復したのを見たけれど、そういう残酷な行為は、いままで日本ではなかった。とにかく日本人にない発想の犯罪が出てきました。

(2000年3月号『正論』、「永田町紳士淑女を人物鑑定すれば」)

【2000年2月29日、都議会本会議の代表質問への答弁のうち、山崎泰氏(無所属クラブ)の質問に答えて】

知事となった今、二十年来続いてきた北京との友好をどうするかという質問だが、私は北京にあまり友好を感じませんな。あの共産政権は最近は沖縄を『元中国の領土』とバカなことを言い出している。尖閣(諸島)はもとよりですよ。

(2000年3月1日付『東京新聞』、記事中の解説=都と北京との友好都市関係は、1979(昭和五十四)年に結ばれた。都の友好都市としての歴史は、六〇年に結ばれたニューヨークに次いで長い。)

◆2000年9月3日に、自衛隊を動員する震災対策総合大演習をやる

【特洲会理事長・徳田虎雄との対談での発言】

徳田 来年(2000年)九月に陸、海・空の三自衛隊と東京都との合同防災訓練を実施されるとか。あれはいい試みですね。その際、医療スタッフも加えた方がいい。

石原 もちろん、そうするつもりです。/今度の防災訓練では医療も含めていろいろ考えています。東京にどの程度の規模の震災が来るかわからないけれども、歩道橋やなんかが落っこったら、戦車でなければ越えられない。医者ももちろん行けない。自衛隊には降下訓練している医者がいるから、そういうものをどうやって導入するのか、また、そのための医療拠点をどうやって作るのか。準備だけでもカネがかかりますが、最悪のことを想定して、ある程度のことはしていかなければと思っています。

(1999年12月号『新潮45』、特別対談「医者は死ななきゃ治らない」)

【月刊『正論』の編集長・大島信三のインタビューに答えて】

石原 東京は清潔ですよ。

――清潔と安全、街にとってこれが一番大切です。

石原 日本に来る欧米人は清潔と安全に感心するけれど、このところ不法入国の外国人が増えて安全が脅かされています。東京で起こる犯罪の質も形も以前と大きく変わってきています。

中曽根(康弘)さんのサジェッション(示唆)で、ことし九月三日に地震対策総合大演習を実施します。小渕(恵三)総理も賛成してくれ、自衛隊の三軍を動員して行います。

そのとき僕がいったのは、関東大震災の際、朝鮮の人たちがデマゴーグで殺されたりして気の毒だったけれど、今度逆のことが起こる恐れがあると。

ロサンゼルスであったように、不法入国の外国人による大略奪が新宿とか池袋で起きるかもしれない。それに対処するデモンストレーションとして戦車とか装甲車で街を封鎖する訓練もしてほしいといったんです。

――戦車なんていったら、マスコミがうるさいですよ。

(2000年3月号『正論』、「永田町紳士淑女を人物鑑定すれば」)

◆「アメリカ信仰」を捨て「大東亜共円圏」を

【月刊『現代』のインタビューに答えて】

石原 アメリカにこんなに虐げられている日本は、まさにアメリカの金融奴隷だ。何でそんなにアメリカに対してびくつくのか。安保を気にすることはない。文句があるなら米軍に出て行ってもらえばいい。現在の日本は、軍事面の技術も予算も他に劣らぬものがあるのだから、自分の金と力で、強力な自衛国家になればいい。

 そして、アメリカが最も恐れていることをやればいい。(日本が買ってやっている三百兆円ぐらいの)米国債を売りに出せばいい。そうすると、日本が世界大恐慌の引き鉄を引くと非難されるだろうが、原爆を落とされたのだから、今度は日本が原爆を落としてもいいような話だ。

 日本の米国債処分で、世界経済は一度沈むだろう。沈んだときに、どこが最初に立直るか? きちっとしたモノを作れる日本や東アジアの国々が必ず優位になる。つまり、アメリカも認めるモノ作りNO、1の国である日本こそが、生き残るのだ。そして東アジア諸国は、モノを作る技術もあり教養水準も高いので、まさに『大東亜共円圏』が誕生するだろう。

(1999年12月号『現代』、特集・痛憤オピニオン10連弾「これを言わずに死ねるか」)

◆「新しい道徳教育」

【1999年4月5日、都知事選中の街頭演説で】

中高生がテレクラで売春する。文部省にまかせてきたからこうなった。私は東京で新しい道徳教育をし、小学校から徳目の時間をつくる。

【『週刊アサヒ芸能』のインタビューに答えて】

石原 修身じゃなしに、新しい道徳教育をやったらいいんですよ。これはね、成果が出るまでに15年くらいかかるでしょう。やらないより、とにかくやったほうがはるかにましなんだ。文部省は全然やらなかったから。/みんなね、ヌーベルバーグやったらいい。みな地方はね、東京のやるのを眺めて真似しているんだから。

(1999年4月15日号『週刊・アサヒ芸能』、「石原慎太郎が『TOKYO』独立宣言」)

◆障害者を差別する発言

【1999年9月18日、重い知的障害と重度の身体障害をあわせもつ子どもや大人が入所している府中市の府中療育センターを視察した後の記者会見で】

ああいう人ってのは人格あるのかね。ショックを受けた。ぼくは結論を出していない。みなさんどう思うかなと思って。

絶対よくならない、自分がだれだか分からない、人間として生まれてきたけれどああいう障害で、ああいう状態になって……。しかし、こういうことやってやっているのは日本だけでしょうな。

人から見たらすばらしいという人もいるし、おそらく西洋人なんか切り捨てちゃうんじゃないかと思う。そこは宗教観の違いだと思う。 ああいう問題って安楽死につながるんじゃないかという気がする。 〔安楽死」の意味を問われて〕そういうことにつなげて考える人もいるだろうということ。安楽死させろと言っているんじゃない。(1999年9月18日付『朝日』朝刊)

◆横田基地を軍民共同使用の空港にする

【『週刊・アサヒ芸能』のインタビューに答えて】

――東京都知事になったら、まずやることは横田基地の返還ですか。

石原 それも1つ。あれはわかっていて投げたビーンボールなんだよ。あんなものとても全面返還はできないだろう。しかし、ドイツのボンやフランクフルトにある基地と同じに、共同使用にしたらいい。

 ――横田基地は、具体的には、どのように使用するんですか。

石原 共同使用。三沢基地みたいにね。首都第三空港として使う。国際線を飛ばしたらいいんですよ。そうしたら、隣の山梨県からも来れる。この間、三多摩地域の人たちに聞いたの。「成田に行くときにどうするの」「一泊で行く」。あれだけの飛行場があったら、第三空港として使えばいい。アメリカは、この要求をのむと思いますよ。

(1999年4月15日号『週刊・アサヒ芸能』、「石原慎太郎が『TOKYO独立』宣言」)

 空港というのは、経済波及効果はものすごいんですよ。羽田だって昼夜展開に

なって、国際化してもう一本滑走路をつくったら、兆単位の経済効果がある。

(1999年8月号『VOICE』、PHP研究所発行)

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▼同性愛者に対する差別発言

 石原知事の発言が問題になっているようですが、知事は同性愛の問題についても、

以下のような発言を行っています。

(文芸春秋 2000年3月号 「芥川賞選評」)

「藤野千夜氏の『夏の約束』はホモという異常な世界を余儀なくする主人公たちのスケッチだが、これがまともなヘテロの人間世界だったら何の劇性もありはしまい。という批評は偏見に拠るものだといわれても、私はあくまで一人の読者として何の感興も湧いてこない。平凡な出来事の中で描いてホモを定着させることが新しい文学の所産ともいっこうに思わない。私にはただただ退屈でしかなかった。」

 藤野千夜氏の「夏の約束」は二人のゲイのカップルとその周囲の人々の人間模様を描く小説で、「軽い文体」という評価とは裏腹に、ゲイやトランスセクシュアルが日々直面する差別や生き難さについて、かなり鋭く描いています。これを上記のような形にしか読みとれない人物が知事なのであれば、東京都における同性愛者の人権状況は当分改善されないだろうな、と思いました。

 また、昨年の4月には都議会で、民主党の都議会議員が石原氏の著書を「ウルトラ・ナショナリズム」と揶揄したのに対して石原氏は以下のように答弁しています。

「私はウルトラナショナリストではありませんが、ナショナリストではあります。これは、言ってはばかりません。だって、アメリカ人なんてみんなそう(ナショナリスト=執筆者注)じゃありませんか。この間サンフランシスコに行ったら、ゲイまでが星条旗を掲げて行進して、『私たち徴兵とって』と言っていましたよ。ということで、やはり国家というものはそういうわけにいきませんから、私もこのような本を書いたという訳なんです」

 しかし、実際には石原氏はサンフランシスコに行ってその様子を見てきたわけではなく、これは文芸評論家の福田和也氏が「新潮45」に連載していたコラム(のちに「平成ゾンビ集」として出版)の受け売りでした。以下は福田和也氏の「平成ゾンビ集」の記述を概ね再現したものです。

「なんせ、オカマまで愛国者ってお国柄だ。サンフランシスコのゲイ・カーニバルに行けば、オカマが星条旗をまいて行進して、『私たち徴兵とって』と言って集会をしている。でも、それが認められないのは、女湯に男が入れないのと同じ理屈でしょう」

 以上、参考までに。

 なお、石原氏の今回の発言は、現在総理大臣である森喜朗氏が92年に早稲田大学での講演の最中に行った以下の趣旨の発言に酷似しています。

「横浜・寿署(ちなみにそんな警察署はありません=筆者注)管内には1500人の韓国人がいる。彼らはベトナム戦争に従軍したことがあり、銃の使い方を心得ているので、何かあったら大きな騒擾・暴動を起こしかねない。」

特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会 稲場 雅紀

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▼石原知事全発言

http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/ishihara/hatsugen09-1.html

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陸自記念行事で(9日)

 本日は陸上自衛隊、そして第1師団の創設記念にお招き頂きまして、ありがとうございます。そしてまた、この機会に国民、都民を代表しまして、皆さんへの改めて大きな期待を述べさせて頂きたいと思います。

 今日(こんにち)の日本を眺めますと、残念ながらどうも国の外側も内側もタガが緩んできたなという感じを否めません。ずうたいの大きな経済国家でありますけども、この日本の姿、社会に起こっている出来事を眺めますと、何か肝心なものが欠けてしまっているなという感じが否めません。私たちのうちに、自分たちが属する伝統のある、力のあるこの日本という国家社会に対する意識が、どれほどあるかなという疑念がわいてまいります。

 国家の国民に対する責任の最大のものは国民の生命と財産を守るというのは自明なことであります。そしてまた、国民もそれを期待するがゆえに国家というものに対する責任あるいは忠誠というものを抱いてるに違いないが、しかし、残念なことに今日の日本の政治を眺めますと、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)にら致されていた、いたいけなあの少女1人を救うこともできずに、これは政府の責任であると同時に私は国民1人1人の責任というものが結束していないその証拠ではないかという気が強くいたします。

まあ、あまり物騒なことは申しませんけども、私たちどうもですね、この敗戦後の

50年間、実に見事に内側からも外側からも解体されたという気がしてならない。私の大の友人でありました評論家の村松剛君が交換教授に行った帰りに、ニューヨーク・タイムズに寄りまして、私たちが戦争に敗れた時(1945年)の8月15日、向うの14日のニューヨーク・タイムズの論説、そしてまた、数か月前、ドイツの敗れた日の論説をコピーして、持って帰ってくれました。私とこれも今は亡き、(作家の)三島由紀夫さんに一つの資料としてくれた。非常に対称的なことに、ドイツの降伏は当たり前に扱われておりますが、日本の降伏の場合には非常に醜い大きな怪物の姿が、そのあんぐり開いた口からアメリカの兵隊が3人でやっと大きな牙を抜いている。そして、その解説にこの怪物は倒れはしたが、まだ骨と牙は抜き去られていない。我々は永久にかかっても、この解体をアメリカのために世界のためにするんだという記事がありました。

 彼ら白人にとってみると、日本人だけが有色人種の中で唯一見事な近代国家を作ったということそのものが、意に沿わない事実だったのでありましょう。ゆえに、このへんを非常に危険視したアメリカは、あのいびつな憲法に象徴されるようにこの日本の解体を図って、残念ながらその結果が今日露呈されていることをだれも否めないと思います。

 そういう中で皆さん、ある意味で社会の中に途絶された形で、場合によっては白眼視されながら日々精励され、この国家をいったん緩急の時には守る、国民の生命を守る、財産を守るために精励していらっしゃる。これは当たり前のことであると同時に、実は日本の社会にとって稀有(けう)なことであると、残念ながら思わざるをえない。どうか一つこういった状況に決して屈することのないように、いったん緩急の時に崇高な目的を達成されるために精進を続けて頂きたいということを、改めてこの機会に国民、都民を代表して熱願する次第でございます。

 先程、師団長の言葉にありましたが、この9月3日に陸海空の3軍を使ってのこの東京を防衛する、災害を防止する、災害を救急する大演習をやって頂きます。今日の東京をみますと、不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。もはや東京の犯罪の形は過去と違ってきた。こういう状況で、すごく大きな災害が起きた時には大きな大きな騒じょう事件すらですね想定される、そういう現状であります。こういうことに対処するためには我々警察の力をもっても限りがある。だからこそ、そういう時に皆さんに出動願って、災害の救急だけではなしに、やはり治安の維持も1つ皆さんの大きな目的として遂行して頂きたいということを期待しております。

 どうか、この来る9月3日、おそらく敗戦後日本で初めての大きな作業を使っての、市民のための、都民のための、国民のための大きな演習が繰り広げられますが、そこでやはり、国家の軍隊、国家にとっての軍隊の意義というものを、価値というものを皆さんは何としても中核の第1師団として、国民に都民にしっかりと示して頂きたいということをここで改めてお願いし、期待して、本日の祝辞と皆さんに対するお礼と期待の言葉にさせていただきます。頑張って下さい。

●青ケ島村で(10日)

−−第三国人という発言が波紋を呼んでますが。

 知事 何かいけないことを言いましたか。戦後の混乱の中で、せっかく作った青空市場で、いわゆる三国人がその中には韓国系、朝鮮系、中国系、アメリカ軍もいて、不法なことをあえてする。我々に実害を与える外国人のことを当時の新聞は三国人と報じていた。おれはそのつもりで使った。東京だって不法入国した顔色がそれぞれ違った身元のはっきりしない人たちがいっぱいいる。その人たちが必ず騒じょう事件を起こすと私は思うし、だからその事実を考えましょうと言っただけだ。

−−各紙が大きくとりあげてますが。

 知事 銀行が裏にいるわけではないだろうけど、どこに問題があるか言ってもらいたい。おれは自分の慣用語として戦後の歴史を踏まえて、古い人間だから、古い表現を使ったのかもしれないが、差別というのはまったくない。

 日本人にとって厄介な、迷惑千万な外国人のことをかつて第三国人と表現した。第三国というのは交渉を国際関係する、それをウォッチしながら口をはさんだり、調停してくれる日露戦争の調停をしたような国を第三国という。そこから戦後の混乱の中で日本人が迷惑させられた、居丈高な外国人のことを言った。日本人が一番弱い立場にあった時だ。科学的に、言語学的になぜいけないのか説明してもらいたい。

−−(三国人は)差別用語と言われてますが。

 知事 どうして差別用語なの。日本人が彼らにひどい目にあって、それを皆で守る自警団まで作った。歴史を知らない馬鹿どもがいっている。歌舞伎町だって池袋だって危うい。東京の犯罪はどんどん凶悪化している。だれがやっているかといえば全部三国人、つまり不法入国して居座っている外国人じゃないか。スネークヘッドだってそうだろう。ブルド−ザ−で宝石店に穴をあけて、そのまま香港に持っていく。

 だから関東大震災の時は流言ひごで朝鮮の人達が殺されるようなことになる。今度は逆に不法に入国している外国人が必ず騒じょう事件を起こす。ロサンゼルスみたいに犯罪を繰り返しているその種の外国人のことを言ったので、他の意味はない。

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●都庁での“釈明”会見(12日)

 私が主催した記者会見だから、私のやり方でやりますから。私は逆に質問を皆さんからまとめて聞きたいんだけどね、この騒ぎの元凶の共同通信の○○君(記者名)、君の書いた記事が非常に不備だったんでね、こういうことになった。君は出てきて皆の意見まとめて聞いてくれ、質問をまず。

 −−あなたの発言が不備だったから書いた。(記事の)どこが不備だったか言って下さい、会見場で=同記者。

 じゃあ、あなた何で文章切って報道したんですか。私は朝日(新聞)に記載されている全文の中で「今日の東京をみますと、不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。もはや東京の犯罪の形は過去と違ってきた。こういう状況ですごく大きな災害が起きた時には、大きな大きな騒じょう事件すらですね、想定される。そういう現況であります」。

 これ、あなたの原稿に出てないじゃない。何で切ったんだよ。浜渦(武生)特別秘書が「何で切った」って言ったら「聞こえなかった」って言ったそうだね。あれだけ大きな大きなスピーカーで報道した。ほかの人は皆聞いているのに君だけ聞こえなかったのはおかしな話じゃないか。君が怠慢か無能かどっちかだよ、それは。

 −−私は聞いたのをその通り書きました。必ずしもテープをとってなかったので……=同記者。

 君の取材は非常にそこつだね。正確を期してないよ。

 −−申し上げます。あの時の会見で言われた不法入国のところは、あなたの発言は非常に小さくて早口だった。知事は大事なことをいわれる時、非常に早口になります。記者に対して聞き取れないような発言をなさるのは公人として非常によろしくないと思われます=同記者。

 だってこれ自衛隊の時の講演でしょ、訓話でしょ。あれだけゆっくり話したじゃないですか。録音ありますよ。お聞かせしようか。君自身がだね、そこつなんだよ。あるいは意図的に君は外したんだよ。さて、何が皆さんお聞きになりたいですかな。

 −−9日の陸上自衛隊の式典での知事発言をめぐって、差別用語である「三国人」と言う言葉を使ったこと、大きな災害が起きた際に、「三国人」と外国人が騒じょう事件を起こすと発言されたこと、治安維持に機動隊ではなく自衛隊に出動してほしいと表明したこと、自衛隊を国民の軍隊と表現したこと、以上4点について、言葉の定義を含めて認識を伺いたい=以下、各社質問。

 主に今の質問は言葉に関することだから、これは大事なことでね、昨日も非常に不備な情報を知らされたうえで、河野君と瓦君、つまり外務大臣と防衛庁長官がコメントしてましたが、河野外務大臣が言ったのは非常に大事なことでね、「言葉の定義にもよるが」ということを言ったが、まさに言葉の定義の問題なんだ。それでね、第三国人というのは差別用語なんですか。そのわけを聞かせてもらいたい。なぜですか。

 −−知事は差別用語ではないという認識。世の中では差別用語とされている。

 それは辞書にはっきり出てますな。例えばだね、私の使っている三省堂の大辞林にまず「三国人」「第三国人」の「三国」なるものは当事国以外の国、つまり戦争とか国際交渉ね、それに関係している相手国以外の直接関係を持たぬ国、つまり外国とされてますな。それから、同じ辞書に第三国人という項目もあって、1は当事国以外の国の人、次は第二次大戦前及び大戦中、日本の統治下にあった諸国の国民のうち、日本国内に居住した人々の俗称。べっ称とは書いていない。俗称と書いている。

 そして、敗戦後の一時期、主として台湾出身の中国人や朝鮮人を指していたと書いてありますがね。私はこの辞書に沿って、つまり第一義の意味で外国人と言葉で使ったんだけど、このごろの人には耳慣れない言葉だから、あえて、重ねて外国人と重ねました。そして、その前段に非常に大事なことだけども、さっき申しましたように今日における不法入国、これは不法入国だけじゃなしに、入国したあと不法に滞在しているその種の外国人も含めて言ったんで、それは重ねてここで説明しますけど、その点では言葉が足りなかったかもしれないが、例の蛇頭、スネークヘッドのようなグループにお金を払って、不法に入ってきている中国人、あるいは他の国籍を持っていて当然日本から退去しなくちゃいけないのに、不法に滞在している外国人を含めて私は言ったわけです。

 ということでありますから、私たち、あなたがた年が違うんで、終戦後の混乱の時に、私たち非常に肩身を狭く暮らしていたもんだから、その外国人のことをなかなか、外国人すなわちアメリカ人と印象に受け取られたんで、その他のここに記述してある、かつて日本の統治下にいた、しかも、戦争の後ですね、国籍のまだ定まらぬ、中国も混乱していたし、韓国も分裂したままで、あの地に条約できて、国籍はっきりするようになるんだけど、それまでの日本にいるかつては日本人だったかもしれないが、今は国籍違えた人たちのことを私たちは「三国人」と呼んでました。その中にはアメリカ人も入っていた。

 ただ、邪悪な犯罪があって、日本人がひどい目にあった、そんなかにアメリカ人もいたって書くわけにいかないからね、「三国人の大男」「大男の三国人」と表現がありましたな。ということでね、私は「三国人」って言葉はこの辞書にある通り、第一義には外国人という認識をしています。そして、耳慣れない言葉なんでね、だから、この間は重ねて外国人といったわけで。私は不法に滞在している、入国している外国人は中国から密入国している人たちも含めて、あるいは退去しないでいる人も含めて、非常に厄介な存在と思うけど、ずっと在日でいた朝鮮の人や韓国の人を不法入国したと思ってませんよ。

 だからですねこの前段がきちっと報道されれば、私はその「三国人」という言葉の中で、ずっと日本にいる韓国人や朝鮮人を指したと受け取られるわけはないのに、だれかがだな、意識的にカットしたんだ。「一犬虚をほえて万犬虚にほえる」みたいになっちゃったから。このへんで皆冷静になって、言葉の問題というなら言葉ってものを自分たちの言葉を大事にして、認識してもらいたい。ただ、私はこういう問題起こってしまったのだから、これからは心して、誤解招きやすいのだったのなら、ずっと在日の韓国人、朝鮮人の人たちの心中察するに余りありますからね。

 ですから「三国人」という言葉、心して使わないようにしますけども。つまり、正当な日本語を正当に使ったのに、その説明がカットされて、非常に悪い印象与え、誤解されたってことは遺憾でありますな。極めて遺憾であります。これはやっぱり、聞こえなかったか、そこつだったか知らんけど、やはりね、新聞記者の魂にもとるよ。

 −−ちょっと待って下さい=会場から抗議の声

 いやだって、個人の問題で済まないじゃないですか。あなたがた扱っているのは天下の公器だよ。メディアというのはパブリックなものだよ。

−−意図的ではないという話はですね、あえて外したわけでないということはですね……。

 ああそうですか、それじゃそれは譲ってだね、しかし、結果としてね、聞こえなかったで済む問題じゃないんじゃないの。もうちょっとこれが問題になると思ったんなら、十全な調査なりテープなり確かめて、完璧な報道をすべきじゃない。現に、朝日はきちんとちゃんと書いてあるじゃないか。それからもう一つ、皆さんに興味ある原稿ですけど、かつて、「三国人」という言葉を朝日新聞も使っております。これはイラク、クウェート内の外国人出国に関する安保理の決定、決議要旨でですね。1990年8月

20日、朝日の朝刊に「イラクとクウェートに滞在している第三国国民の安全と安寧を憂慮する」うんぬん、「イラクに対して、クウェートとイラクにいる第三国人の即時出国を許可するとともに」うんぬんとありますね。

 それから、1988年の6月

10日の読売新聞には、これは、「在北京アメリカ大使館は9日、北京と天津に住むアメリカ人に緊急通知を発し、第三国人がアメリカ人にテロ攻撃を加える計画を立てているとの報道があり」うんぬんと書いてあるね。ですから、「第三国人」という言葉はね、つまり何というかな、日本の中だけでなくもっとポピュラーな言葉だし、外国も使ってるんだ。そういう意味で、正確な意味で。しかし、日本には日本の特別な事情があって、ずっと在日でいた韓国の人、朝鮮の人たちが嫌な思いをした、差別を受けた、だから独特のニュアンスあるかもしれないけど、私はそんなもの斟酌というか考えて、斟酌してもなおかつ、「三国人」という言葉をこの辞書にある通り、第一義で使ったわけですから。やっぱり皆言葉は正確に使った方がいいしね。俗称というものがいつのまにか正称になってしまったら、怖いですよ。日本語の破壊ですよ。次の質問、何だっけ。

 −−大きな災害時に「三国人」が騒じょうを起こすと発言したことについて、また、自衛隊を国民の軍隊と表現したことの真意を。

 自衛隊は国民の軍隊じゃないですか。あのパレード出てね、あれだけの堂々たる装甲師団がパレードしてね、あれが軍隊じゃないんですか。英語に訳せばグランドフォースだよ。それを訳し直せば地上軍ですよ。三軍ですよ。エアフォースは空軍ですよ。ネーバルフォースは海軍ですよ。自衛隊と訳したのは日本だけ。それはやはり日本人は考え方変えた方がいいんじゃないの。皆国民の皆さんがおかしいと言っているよ。だから、どうして、自衛隊を軍といっちゃいけないんですか。軍じゃないですか。それからね、彼らの身分が軍人じゃなければ困るんですよ。ジュネーブ協定でね、軍人か軍人じゃないか分からないあいまいな人間はもし捕虜になったら虐待されてもしかるべき、構わない。ただ、軍人の身分がはっきりして、軍人ならば戦争の中で捕虜になった時はちゃんと身分が保証される。自衛隊員は軍人です。

 −−治安出動については。

 治安維持はどこの国だってそうじゃないですか。警察の機動力に限界があった時にね、軍隊は治安出動するっていうのは、災害の時もそうでしょう。アメリカなんかちゃんとロサンゼルスの地震の時はカリフォルニアの知事が要請して、ステートアーミー、州軍が進出して治安の維持してましたよ。私は当たり前のことだと思うね。しかもそれを想定することがどうしていけないの。地震はこないだろうと済ませば楽なもんだけどね、やはり大地震が来るだろうという想定の中に私はこの東京を預かっている最高の指導者とすれば、それから派生するもっと大きな非常に悪しき事件を想定するっていうことは、私の責任ですから。それがき憂に終われば結構なことだし、私はあそこであえて、「第三国人」のことは予期しなかったことですけどね、騒じょう事件が起こったときに仮定して、三軍を出動して治安の対策をしてもらううんぬんと言ったのは、言うことが良いことなの。これが抑止力になるの。また、9月3日に演習することで、それが抑止力になる。起こってからバタバタ慌てて練習したって間に合わない。危機管理っていうのはそういうものですよ。私は私の責任でそれをやります。それを想定してやります。

 −−知事は大災害時に不法入国の外国人が騒じょうを起こす可能性があると言うが、阪神大震災ではそうした事実はなかった。

 阪神大震災ってよく言いますが、ケースが違います。東京の場合にはもっと凶悪な犯罪をたくさんしている不法入国、不法駐留の外国人がたくさんいる。警視庁の指数、見てごらんなさい。今までの日本の例えば強盗なら強盗が、やりようのないような凶悪な手口でですね……。

 例えば、話しましょうか。宝石店にですね、普通の日本の泥棒だったら狡智(こうち)を尽くしてかぎ開けて入るけども、彼らはね、工事用の車持ってきていきなり壁に穴開けてがさっとかっぱらってって、どこへ持っていくかといったら、日本の故買のルートなんかにかけないんだよ。香港に持っていって、香港のルートにかけるんですよ。例えば、日本堂とか和光にあった

10万円の価格のついている指輪だったら、これはもう一流の店だから信用できるっていうんで、そのまま向こうのルートにかけるんですよ。こういう事実があるんですよ。

 それからどうなんですかね。中国製の覚せい剤がどんどんどんどん輸入されてきて、売るのはパキスタン人が主らしいけれど。非常に多様なですね、そういう薬というものを摘発しても、なお末端価格は上がらない。上がらないってことはですね、もっともっと多量な、そういう危険な薬物が、まさに「三国人」、外国人の手によってまん延してんだ、この日本に。

 皆さんの子弟がスポイルされてるんだよ。それを放置できますか。警視庁は悪戦苦闘してますよ。その手合いが、とにかく未だにばっこしてるんだ。私はね、そういう事実をメディアの人に知ってもらいたいし、そういう情報の事実を確かめたいのなら、どうぞ警視庁に行ってください。

 そりゃね、神戸におけるね、不法滞在している外国人やってる犯罪と、東京の場合、ケースがぜんぜん違うし、質も量も全然違うんです。だからロサンゼルスでも、あれは何て言うのか、少数民族による略奪事件があった。しかし日本の場合はですね、もっと肩身の狭い、後ろめたい思いをしている外国人がいて、現に狡智にたけた犯罪をしていながらだね、つまり、なかなか手が及ばない。それが大きな災害の時、どんな形で爆発するかということを考えたら、私は知事として本当に寒心に耐えないね。

 それでね、東京の都民が大きな迷惑を被ることが許せないから、抑止するために演習をするんだ。演習をするということを言ってきた。私の責任で。もし、それがいけないんだったら、4年か3年後の選挙で都民が私を裁いたらいい。私は潔くですね、その時また訴えますよ。知事である限り、地震が来ないに越したことはないけれど、いつ来るかわからない地震に備えた大演習をしますよ。政府の協力の下に。だれがそれを咎(とが)められますか。

 −−社会的に影響力のある知事としてはですね−−。

 もちろん、影響力があるから、こういうオファーしてるんだよ、おれは。

 −−日本では朝鮮半島がらみの事案が起きると、朝鮮学校の生徒のスカートが切られたりする。社会的な影響力のある知事の発言がそういう事件を助長しないか。

 それはね。前段の問題がね。私が今度言った「三国人」というのは、ずっと日本にいる朝鮮や韓国の人じゃないんですよ。不法に入国し、不法に駐留している、滞在している外国人のことを言った。現にその犯罪はばっこしている。私はその人間を対象としただけで、一部の人たちがですね、俗称である「三国人」を誇張してね喧伝することで、朝鮮の人、韓国の人は不安で不愉快な思いをしただろうけど、それは非常にお気の毒だし、遺憾に堪えないけど、これを謝罪するべきは、そういう間違った報道した、偏った報道した人間じゃないの。

 −−真意はどこにあるにせよ、実際に知事発言によって傷付けられた人たちがいる。発言を撤回したり謝罪したりする用意はあるか。

 いや、謝罪する必要ないけど、私は説明はしますよ。こういう皆さん、メディアに説明してるじゃないですか。外国の記者も来ているらしいし。どうぞ、正確に私の言ったことを報道してもらいたい。メディアを半分信じ、半分信じていないけれども、せっかく皆さんお集まりになってるんだから、正確な報道をしてもらいたい。

 私はね、断っておくけれども、北鮮(朝鮮民主主義人民共和国)はいろいろ問題があってね、好ましくない国だと思うけれど、韓国には友人がたくさんいます。今の首相のパク(朴泰俊)さんだって私の友人ですよ。世界中にたくさんいますよ。その人たちの子弟がね、仲間がね、これで非常に迷惑をし、不安をおぼえているんだったら、それは非常に気の毒だと思うし、慙愧(ざんき)ですけども、その原因になったのは間違った報道じゃないですか。歪められた報道じゃないですか。寸足らずな報道じゃないですか。

 −−治安出動の話は、関東大震災の時と重なる。歴史認識を聞きたい。

 それはですね、私は都議会でも、この計画を説明する時、言ってます。詳しく言ってます。議事録を読みなさい。取材をきちっとしなさい。私はですね、過去に、関東大震災の時に流言飛語でね、在日の朝鮮人の人たちがむげに殺され、非常に痛ましい事件が起こった。しかし、もうそんな時代じゃない。

 逆にだね、今度は朝鮮の人、韓国の人じゃないんですよ。違法に日本に入国し、駐留し、滞在し、そして犯罪を繰り返している、そういう人間たちが、何を起こすかわからんてことを言ってるだけでね。要するに、もし日本にいる外国人がだ、流言飛言でそういうことになったら、一種の治安出動で私たちは守りますよ。あの時は日本の当局が守り切れなかったから、朝鮮人に被害が出た。

 −−関東大震災では、警察や軍当局が虐殺にかかわったという事実があるが。

 ああ、そうですか。それは論外の話でね。そんなことは許されるわけはないし、世界が眺めている中で、そんなばかなことは私が許さない。絶対に。

 −−それなのに「三国人」という差別語を使ったのは、誤解というより、明らかに知事の不手際では。

 不手際じゃない。私は第一義で使っトいるんだから。ただ、やっぱりそれはね、感情的に非常に反発しやすい言葉だったら、これから使いませんよ。しかしね、あくまでも「三国人、外国人」て言い直して、重ねて言ってたけど、どの種の外国人かってことをきちんと言っるでしょう。朝日(新聞)の全文にもきちんと書いてあるけど。え、「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」っていう前段で始まっているんだ。これを切ってしまって、いきなり「三国人」てことになったら、そりゃねえ、いろんな誤解が生ずるだろうけど。報道は正確にしてもらいたいね。

 −−「三国人」という言葉を使ったこと自体が誤解を招くと思わないのか。

 だって、辞書にきちっと第一義の「外国人」という定義で使ったんだ。だけど、耳慣れない言葉だから外国人と言い直したわけですよ。これから使いますまい、そりゃ。それからね、皆さんね、記者、記者って言うならね、東京の実情をこれから見てね、行ってごらんよ。歌舞伎町とか池袋とか。

12時過ぎたらどこの国かわからないよ。ヤクザだって怖くて歩けないよ。日本のヤクザだって。そういう現況があるんだ。

 −−どこの報道が良い悪いという問題ではない。ほとんどの記者は知事に非があると認識していると思う。発言が広げた波紋について、どう考えるか。

 あのね、多くの日本のメディアを信じてますがね、あの日、たまたま日曜日で翌日の新聞は休刊日で、なかった。そして、共同通信の報道が普通の新聞ではなくスポーツ新聞に流れた。スポーツ新聞というのは非常に針小棒大っていうか、すごいキャッチフレーズで書きますよ。それでですね問題が非常に拡大された形でセンセーショナルになったんだ。もし、普通の新聞が、朝日が全文掲載したみたいに月曜日の朝に私の言葉を全部掲載してくれていたら、こんな問題はここまでならなかったと思う。私のどこに非があるんですか。いや非があったら認めますよ。

 −−毎日新聞も発言の全文を掲載している。(報道に関する

10日の青ヶ島での)知事のコメントもすべて載せている。それでも、なお知事発言はおかしいという意見が出ているのが現実だ。

 「三国人」に関して?

 −−それだけではない。大災害時には、外国人だけでなく、日本人だって犯罪を起こす蓋(がい)然性はあるはず。それを知事はあえて「外国人が」と言っている。

 でもね、それはね。都民の皆さん、国民の皆さんに東京の実態を知ってもらいたいんだ。日本全体にまん延している覚せい剤、いったいどこの外国人がどうやって運び込んでるのかね。その実態、警視庁に行ったら詳しく話してくれますよ。このコンピューター時代にねえ、インターネット使って狡智(こうち)な暗号でだね、覚せい剤なり麻薬を販売しているのは、不法入国し不法滞在している外国人じゃないですか。ほとんど原産地から中国経由で入ってきてるんだよ。これは国家の問題だから、政府もちゃんとしてもらいたいんだ、本当に。中国の政府なら政府に、きちっと抗議したらいいし、向こうだって法治機能はあるんでしょうからね。

 それで結局だね、どれだけの金になってどれだけ還流されているか知らないよ。だけど、やっぱりそれだけ日本の子弟の若い人の身体がむしばまれて、精神がむしばまれている。それを私は看過できませんな。その多くの発信基地ってのは東京にあるんだ。行ってごらんなさいよ、歌舞伎町や池袋。女の人は夜はとっても一人で歩けないよ。ヤクザだって怖がって入らないよ。そういう無法地帯になっているんです、ある時間帯は。

 だから私は、その人間たちが大きな引き金を引いて、大きな騒じょう事件を起こす可能性があると。当然、東京全体が瓦壊(がかい)したら、こそ泥を働く人はいるでしょう、日本人だって。日本人が泥棒しないとは言いませんよ。しかし、もっと大きな規模のロサンゼルスで起こったようなね、サういう略奪騒動事件が起こった時に、ロスではカリフォルニア州軍が出動したみたいに、私は軍隊持っているわけではないから、とにかく国家に頼んで治安の出動を要請する。その演出をすることで、未然に防げると思ったんで、あえてそういう発言をしてきました。そのへんでいいでしょう。はい、以上であります。

−−「三国人」という言葉がべっ称として使われていたということは、ご存じなかったのか。

 べっ称? 俗称としてはありましたよ。

 −−いや、一般の人の間でべっ称として使われていたということについて。

 その、要するに何ていうか識別するために使ってましたよね。

 −−差別的な使われ方をしていたという認識はなかったということか。

 は? しかし、言葉とすりゃ、それは人によってねえ、つまり差別ってのは感情の問題ですからね。使い方いろいろあるでしょう、その意識が。しかし、私はあくまでも第一義として使ったわけです。耳慣れない言葉だから、改めて外国人と言い直したわけです。

 −−(2月定例)議会で発言した後、議事録を「外国人」に訂正したが、これはどういう意図か。

 はあ、それは僕はよく覚えてませんね。

 −−知事の名前で、代表質問の後に訂正が出されているが、これは知事が命じたものではないのか。

 それは詳らかにしませんが、それでしたら私は「三国人」というのは今後使いません。懲りましたからね。迷惑もかけたし。ただ、やっぱり、その引き金を引いたのは、私はやっぱり不備な報道だと思いますよ。

 −−私は、大震災が起きたら軍を出動して取り締まるという、発言の主旨を書いたつもりだ。それについてはどう考えられるか=共同記者。

 だから、当然騒じょう事件を防ぐためにだね、要するに外国人か何かしらないけれどもね、とにかく一番発信源になりそうな歌舞伎町なり池袋なりを対象としてね、厳重な警護をする必要あるし。つまり、演習をすることで抑止力になると、私は思いますよ。

 −−日本人と外国人の関係を悪化させ、外国人を白い目で見ることにつながらないか。

 あなた、どこの会社のどの人? 名前を名乗りなさい。デイリーヨミウリ? はあ。日本人ほど、外国人と親しい、何と言うかコスモポリタンな民族っていないんじゃないの。決して日本人はですね、外国人を最初から白眼視なんかしてませんよ。外国人に比べて日本人の方がよっぽど寛容だと思うけれどね。

 −−知事の理念の上では、不法入国とそうでない外国人の区別はつくかもしれないが、まち中では外形的な区別はつかない。

 まあ、そりゃあ、その人間が日ごろ何をしてるかね、日本の社会に溶け込んで、いい市民であるなら、だれもそんな人を迫害しないでしょう。私が言いたいのは、大きな大きな災害が起こった時に、人間の精神というか心理をアップセット(混乱)してね、非常に何と言うか異常な精神状態になった時にね、そりゃ、やっぱり、日本で肩身の狭い思いをしている外国人、たくさんいるでしょう。犯罪者を含めて。

 特にその犯罪者がですね、それならということで一獲千金、何をやるかわからない。それは私はきちっと抑止しなくちゃならない、防止しなくちゃならないと思っていますがね。知事としての危機管理の責任だと私は思う。

 −−今回の発言に関して正式に謝罪したり辞任したりということは考えていないか。

 何を言ってんだ、あんた。誰に謝罪するの。なんで私が辞任しなくちゃいけないの。私は私のやり方で責任を遂行しようと思っている。ばかなことを聞くな。

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●都庁での定例会見(14日)

 石原慎太郎知事の「三国人」発言に関連し、

14日も定例記者会見で質疑が展開された。記者団からは、発言に対する謝罪の有無や、9月に実施する防災訓練に治安出動の要素を盛り込む意向、差別の認識などについて、質問が相次いだ。石原知事は改めて遺憾の意を表明しただけで、謝罪はしなかった。しかし、12日の記者会見に比べ、全体的に慎重な言い回しが目立った。一問一答の全文は次の通り。

−−知事が今回の一連の発言の中で、ロスアンゼルス大地震の時に暴動略奪があったと、ロサンゼルスで黒人、ヒスパニックが暴動したというが。

 地震の時はとにかく、あそこライオット(暴動)、騒動がありましたよね。地震の時じゃなかったですか。

−−都が出した報告書では地震の時の逮捕者が8分の1と。

 ロスアンゼルスでいつどんなことがあったの。

−−ロスアンゼルスで1992年の人種暴動。

 あ、その時でした、1900何年ですか。

−−1992年です。

 私それと混同していたかもしれません。すみませんそれは。外国のことでよく認識ありません。いずれにしても何か大暴動ありましたな。

−−先ほど公明党の幹部との面会の中で、知事がこれに謝罪していると、それについての会見があったのですが、知事の謝罪と受け取りたいというようなことをおっしゃっていたんですが、知事としては改めて謝罪するお考えはあるんですか。

 謝罪というよりもですね、私はただ、自分の遺憾の意を表明してね、自分の真意が正確に伝わるようにこういう表現をしたわけですが。ちなみにいいますと、不法入国した外国人のことを不法入国した「三国人」と表現しました。このことは在日韓国、朝鮮人をはじめとする一般の外国人の皆さんの心を不用意に傷付けたとしたなら、それは私の本意ではなく、遺憾であります。一般の外国人の皆さんの心を傷付けるつもりはまったくないので、今後はその言葉は一切使わぬように致します、ということであります。以上であります。これ以上の説明する必要ないと思います。

−−公明としては今の言葉を謝罪と。

それはだから、私はあくまで遺憾の意を表明した。私にとっても心外な出来事でありました。結果的にマスコミの報道にも一つ問題があるんじゃないですか。いろいろ指摘する筋もあるけどね。ですから、それ以上説明いたしません。

−−不法滞在の外国人は法務省の統計だと1993年の

29万8千人が今年は25万1千人。警視庁の滞日外国人の検挙件数も93年の3778件から昨年は1734件と減少傾向にあるが。

 犯罪は増加していますよね。

−−凶悪犯罪は増加してますが、犯罪全体は減っている。それでもまだ、不法滞在外国人の脅威を感じるか。

 それは感じますね。あなたやっぱり、池袋とか、歌舞伎町、夜行ってごらんなさい。

−−歌舞伎町は夜、日本人もたくさん歩いているが。

 しかし、まあ実態は何度か行ってみたら分かりますけど。

−−知事は怖くて歩けないわけですか。

 私はまあ、要するに、何というか、警察の人と行きました。他のことでね。でも、やはり、日本人は大変でしょうね。

−−9月3日の自衛隊との合同の防災演習について、昨日の衆院安全保障委員会で、2人の政務次官とも、治安出動を想定した訓練はまったく考えてないと答弁しているが、知事の認識とずれがあるのでは。

 私はね大規模などういう機材使って行うか、まだ、これから会議をしてですね、来週の金曜日かな、最初の作戦会議をやるようですが、私も出席するつもりですし、内容如何については私も要請いたしますが、ただ、私はある種の機材を使って大規模な救済訓練をするということでですね、自衛隊の軍としての発動力というものを提示すれば、抑止力にもなると思うし、市民に信頼感を醸し出せると思っております。

−−知事、あの。

 今だからね、その、災害救出計画のディテールをまだ作っている最中だから。ま、その時に、大地震が仮に来たとしてね、そこでどういう事態が起きるかって、想定できないでしょ。地震の規模にもよるでしょうし。それからどこの地域に東京の地域に、どれだけ甚大な被害が起きるか、これが三多摩だったら様子が違ってくると思うし、いわゆる、海抜ゼロメートルのああいう所だったら違ってくるでしょうしね。非常に高層な耐震性に強いビルある、新宿のこういうダウンタウンとかですね、霞ヶ関界隈とはまた、対応違うでしょうけど、しかし、新宿の周辺の都市はそう強いものではないし。現にいろんないくらでも判断がありますから、何が相乗効果があって、何が起こるか分からないから、私はそういうこと想定してね。要するに万全な体制というものをとっていくことが私の責任ですから。思い過ごしになるかもしれない。それでそれが杞憂に終わればそれに越したことはない。なお一番いいのが地震がエネルギー散発して、来ないにこしたことはない。

−−騒じょう想定した訓練なのか。

 それは後発的なものでしょうからね。地震がきてですね、瞬間的に暴動に近い騒じょう事件が起こることはないでしょう。やはり、ある時間置くわけですから。予想外のものが起こった時にですね、自衛隊がそういうものを防止する、あるいは鎮圧する、その場合、どれだけ早く稼働するかっていうことが問題の1つだと思いますから。

−−今度の訓練は災害救助ということと。

 災害救助です。暴動に対する対策も要するに災害救助です。騒じょう事件に対する抑止も防止もですね災害対策です。

−−法律上の条文は異なりますが。

 法律の条文が違っても関連しておこってくるわけだから。

−−訓練の中で自衛隊に暴徒が暴れること想定した演習、必要なのか。

 これからプロット作るわけですから、その段階で、専門家がどういう反応示し、どういう見解示されるか私も会議に出てみなきゃ分かりませんけども、私の想定としてはですね、地震の規模なり場所によってはある種の騒じょう事件が起こる可能性も十分あると思っております。ですから、その懸念をぜひ表明して、それに対して専門家がどう対処するかということは、これはやっぱり、こちら素人でしてね専門家たちに任す以外ないでしょう。

−−訓練にはボランティアとか民間もたくさん参加する訓練のようですが。

 え、ボランティア。

−−3軍、あっ、3自衛隊だけでなく。

 3自衛隊って何だっけ。

−−9月3日の訓練は3自衛隊、3軍でもいいですけど知事のおっしゃる言葉では。現実には多くのボランティアも。

 そりゃあそうでしょう。

−−ボランティアの市民は。

 持ち場持ち場ということがあるからね。

−−その中で、暴動鎮圧を。

 そんなところにボランティア出ていったって役に立つわけない。持ち場持ち場ですから。そんなの専門家に任す以外ないだろう。常識で考えてくれそんなこと。

−−自分の訓練がどんなことかは重要なこと。

 つまりあなた、ボランティアの人たちも人によったら、軍隊っていうのが自衛隊がだね、参加する防災訓練出たくないという人がいるということ。

−−そういうことでなく、治安対策の意味を持っていることあらかじめ知らせたら。

 場合によってはそうなるでしょうね。犯罪が起こり、騒じょう事件が起こっているのにですね、それに対処しなかったらこっちが責任問われるよ。それは。当たり前のことじゃないですか。もういいよ、この話しは。やめやめ。楽しい話ししてくれよ。

−−防災訓練は災害起きた時に万全の供えすることといっているが、治安維持の要素も含まれているのか。

 それいったら、起こらないに越したことがないけどね。

−−起こったとしたら。

 それからね、それからつまりどうするか考えるようなね、やがて地震が来るだろうと前提で話しをしているわけで。その規模によるし、場所によるし、そういうことも最悪のケースとして想定するってことは僕はやはり演習っていうものを主催する側の一人としての責任だと思いますよ。都民だってそれ理解してくれると思いますけどね。

−−治安維持の要素も入っている。

 もちろん、もちろんそうです。ただ、そういうものは実際に発現しなけりゃそれに越したことありませんよ。さらに地震の規模が小さくて、自衛隊なり、軍なりが出動する必要のない規模で終わればそれに越したことはないですよ。

−−ロサンゼルス地震の時や阪神大震災の時の経験から一番大事なのはボランティアではないか。

 一番大切か何番目か、それも非常に大切だと思いますね。

−−そのために、これからボランティア支援する。

 ああそうです。何かいいアイデアあったら教えてよ。

−−NPOにやりたいといってきたら支援するか。

 もちろん支援するね。

−−先日、文化人から6項目の質問状が来たが、返事は。

 僕はそれまだ見てないです。

−−渡ったら答えるのか。

 ああ、答えますよ。

−−知事自身の差別用語、差別の認識聞きたい。

 僕はそれね、衆院の細川内閣の時かな。自民党の代表質問でね、予算委員会で話したことあるんですが、やっぱ差別は好ましいもんじゃありませんよ。みんなそれぞれ差異があるし、能力もね容貌も皆違うんだから、肉体的能力も、頭脳能力も。あるいは、人種もあるわけだし。ことさらに私はそれをどうするつもりはない。ただ、反省しているのは、よく外国人のインタビュー受けるんです。そうするとね。「あなたナショナリストですか」。私は当たり前です。私はナショナリストです。ナショナルでないものが何でインターナショナルたりえますか。例えば歌舞伎がそうですね。相撲もそうなりましたね、禅もお茶もそうですね。寿司までそうだっていうと、困るのはね、このごろ、王立何とか研究所、イギリスの若い学者が私のことを書いてくれた。そこでそのアーティクル読んで、あっと思ったのは、「あなたはナショナリストです」「そうだ」って言わないほうが良いんだよね。「ナショナリスト」って英語のコンセプトで、非常に排他的でもあり、レイシズムというものを持った国粋主義者っていう観念が強いんだな。むしろ「私、愛国者です」って言うべきだと思うの。ただ日本だと逆に「愛国者です」というと、何かちょっとこう、ね、もごもごするみたいな、言葉のニュアンスがだいぶ違うんだな。そういうのを心して使わないと誤解を受けやすいんだなと。だから私は「NOと言える日本」だって、アメリカに対する差別意識で書いたわけじゃないし、むしろ、日本人の方がアメリカの差別受けていると思いますよ。アメリカにも歴然とありますからね。そんな話しもいれましたがね。いずれにせよ、私は人間たるには同等だし、平等だし、それである限り、人間自由でいられるわけでね、私はだから差別っていうものはいかな材料でも許されるべきではないと思います。ただ、差別用語っていうのはありますね。これについて大論争やったの、朝日新聞の見開きで、あの時、そっちの方の問題の専門家の社会党のもう辞めちゃったけど、彼と非常に突っ込んだ良い話しをして、私は私なりに自分の論を主張しました。詳しくはそれ読んでください。小森さん、ああ、小森さんって代議士と。

−−「三国人」は2月

29日の都議会で出たときは議会の反応なかったが、今回、公明党、共産党などがこういった反応しめしている。その議会の対応について。

 やっぱり、まず、報道のされ方が一部非常にトリムされててね、しかもですね。普通の他の新聞が朝刊ないときに、スポーツ新聞だけが、大袈裟というかああいう形をしたということで、非常に私にとって心外な広がりを見せたわけですけど、そういうものに対する呼応もあったでしょうけど。私の真意というものはですね、あさってテレビの機会があるんで、そこで詳しく時間を掛けて話そうと思ってますけど。私はあなた方を通じて国民や都民の皆さんの判断受けているわけだけどそれではおぼつかないところありますから、私自身がテレビの前で都民の皆さん、国民の皆さんに話そうと思う。ただし、皆さん、日曜日の朝のテレビ見てください。はい、それじゃ終わります。ありがとうございました。

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  • 各団体の抗議声明より

石原慎太郎・東京都知事の民族差別発言に抗議し辞職を求める共同声明

 石原慎太郎・東京都知事は昨日(4月9日)、陸上自衛隊練馬駐屯地での創隊記念式典での挨拶の中で、「三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返しており、大きな災害では騒擾事件すら想定される。警察の力に限りがあるので、みなさんに出動していただき、治安の維持も大きな目的として遂行してほしい」と発言した。

 この石原発言の中の「三国人」という言葉は、すでに死語となっていたはずの、在日旧植民地出身者(在日韓国・朝鮮人、台湾人)に対する差別語である。しかも石原都知事は、「凶悪な犯罪を繰り返し……」として持論を展開しているが、そもそも「ない」ことを、「ある」ごとく言うことは、明らかなデマゴギーである。

 1923年9月の関東大震災時、軍隊や警察、自警団によって6000人以上もの在日朝鮮人が虐殺された。それは、日本政府・軍隊がまったくのデマゴギーを意図的に流布・黙認した過程において引き起こされたのである。今回の石原発言は、決して不用意な暴言などではなく、他民族に対する偏見と憎悪に満ちた意図的な言辞であり、排外主義による扇動行為に他ならない。

 このような発言は、台湾・朝鮮の植民地支配からアジア太平洋戦争に至る、今世紀前半の軍国主義日本に回帰させようとするものであり、私たちは断じて許すことができない。また、日本がすでに加入している国際人権自由権規約の第20条2項(差別・敵意唱道の禁止)および人種差別撤廃条約(人種・民族差別の扇動・流布の禁止)に明らかに違反するものであり、国際的な指弾を免れないものである。

 すでに東京においては、在日韓国・朝鮮人をはじめとする外国籍都民の数は26万人以上になり、都民総人口の2.22%を占め(1998年末現在)、東京都みずから「外国人都民会議」を設置するなど、国際都市・東京に向けた取り組みを始めている。その一方で、「差別のあらゆる扇動・行為を根絶する迅速かつ積極的な措置をとる」ことを義務づけられている地方自治体(人種差別撤廃条約第4条c項)の長が、民族差別発言を弄し、排外主義的扇動をなしている。このことは「犯罪行為」としてみなされるべきである。

 私たちは石原慎太郎氏に対し、発言の撤回と謝罪、都知事の即時辞任を求める。         2000年4月10日

外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会

日本キリスト教協議会(NCC)在日外国人の人権委員会

日本カトリック正義と平和協議会

日本基督教団在日韓国朝鮮人・日韓連帯特別委員会

在日大韓基督教会在日韓国人問題研究所(RAIK)

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                              2000年4月12日 

東京都知事   石原慎太郎 様

移住労働者と連帯する全国ネットワーク 事務局長渡辺英俊

 石原東京都知事の移住労働者とその家族への差別発言に抗議し、 発言の撤回と謝罪と辞職を求める声明

 現在日本には、30万人とも言われる正規の在留資格を持たない外国籍住民を含む100万人以上の移住労働者とその家族が暮らしています。その多くは、日本人が仕事に就きたがらない、いわゆる「3K労働」とよばれる仕事に従事するなど日本社会の底辺労働を支えています。私たちは、ともすれば劣悪な労働条件下におかれたり、無権利状態で様々な人権侵害を受けやすい立場にある移住労働者とその家族からの様々な相談や人権擁護活動などを担い、日本社会が移住労働者とその家族と共に生きる社会となることをめざして活動している団体・個人のネットワークです。

 石原東京都知事は、4月9日陸上自衛隊練馬駐屯地での創隊記念式典の挨拶のなかで「三国人、外国人の凶悪な犯罪が繰り返されている。震災がおきたら騒擾(そうじょう)が予想される。警察だけでは限度がある」と発言し、また、翌日4月10日には、「東

京にいっぱいいるじゃない。不法入国した身元のはっきりしない人間たちが必ず騒擾(そうじょう)事件を起こすとと私は思うし、その準備を考えましょうと言ってきた」「東京の犯罪はどんどん凶悪化ししているよ、だれがやっているかといえば、全部三国人。つまり日本以外の不法入国し居座っている外国人が犯罪者じゃないか」と発言したと報道されています。

 かって、1923年9月の関東大震災直後に、「朝鮮人が井戸に毒薬を投げ入れた」「朝鮮人が暴動を起こす」などという流言飛語が流され、日本の軍人、警察官、自警団らにより6千人を越える朝鮮人や日本人社会主義者らが虐殺された事件がありました。すべての日本人および地方自治体や日本政府は、「この虐殺に荷担した加害者を処罰し、被害者やその遺族へ謝罪と補償を行い、二度とこのような虐殺行為を日本でくりかえさせない」という歴史的責任を負っています。そのなかでもとりわけ東京都知事は、その歴史的責任を果たすべき主要な役割を負っています。

 そして、外国人による犯罪についても、警察庁の『平成10年版、および平成11年版警察白書』の統計から、最近6年間(1993年から1998年)で日本全体での刑法犯の検挙人員は1993年297725人から1998年324263人と26538人増加し約1.1倍に増加していますが、「来日外国人」の刑法犯検挙人員は、1993年の7276人をピークに毎年減少し1998年5382人で、1993年から1894人も減少し4分の1以上も減少しています。さらに、日本全体の刑法犯検挙人員に占める来日外国人刑法犯検挙人員の比率も1993年2.44%から1998年1.66%へと低下しています。また「来日外国人」による刑法犯のうち凶悪犯の検挙件数、検挙人員とも増加傾向はありませんし、「来日外国人」刑法犯検挙者に占める「不法滞在者」の比率は、最近2年間(1997年.1998年)で24%で、特に際だって「犯罪の温床」となっているわけではありません。このように最近6年間(1993年から1998年)における「来日外国人」犯罪は、日本全体の犯罪の比率では1〜2%を占めるに過ぎず、増加も凶悪化もしておらず、むしろ減少してきています。

 本来、東京都知事に限らずすべての地方自治体の長は、震災など災害に際して、国籍や在留資格の有無を問わず外国籍住民を含む全ての住民を被害から守るために行動する責務があり、災害に際して住民にパニックにならず冷静かつ理性的に行動するように訴えるのがその務めです。にもかかわらず、歴史的責任に目を向けず、「来日外国人犯罪が減少している」という事実にも基づかない石原東京都知事のこのような発言は、全ての外国籍住民、とりわけ正規の在留資格を持たない外国籍住民への敵意をむき出しにした差別と排外主義を扇動する犯罪的発言で、断じて許されるべきではありません。

 私たちは、日本社会が、南北経済格差や地域紛争のため、移住を余儀なくされた移住労働者とその家族を差別・排除するのではなく、人間として共に生きる社会となることをめざす立場から、石原東京都知事に対して、発言の撤回と謝罪、都知事の辞任を求めます。

 注)警察庁の定義では、「来日外国人」とは、わが国にいる外国人から定着居住者(永住者など)、在日米軍関係者及び在留資格不明者(国籍不明であるが明らかに日本人ではない者等)を除いた者をいう。

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石原慎太郎・東京都知事の発言に対するIMADR-JCの見解と要請                         2000年4月13日

東京都知事 石原慎太郎様

反差別国際運動日本委員会   理事長 武者小路公秀

 反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)は、世界からの一切の差別撤廃をめざし活動を続ける国連NGOである反差別国際運動(IMADR)の日本における活動の拠点として1990年に設立されて以降、部落差別、アイヌ民族差別、在日・滞日外国人差別、障害者差別、女性差別などの問題に取り組む多くの人びとと協働活動を展開してきています。

 さて、石原慎太郎東京都知事は、去る4月9日、陸上自衛隊練馬駐屯地の創隊記念式典での挨拶の中で、「三国人、外国人の凶悪な犯罪が繰り返されており、震災が起きたら騒擾(そうじょう)も予想される。警察だけでは限界があるので、災害だけでなく治安の維持も皆さんの目的として遂行してもらいたい」との訴えを行いました。

また、同知事は12日、都庁内で行った記者会見の席上においても、あくまで差別したつもりはないと強調しています。

 今回の石原都知事の発言の第一の問題点は、戦後在日朝鮮人や在日台湾人に対する差別的なニュアンスを含んだ表現として歴史的に使用されてきた「三国人」という表現を使用することによって、歴史的な反省をしていないだけでなく、現在の在日外国

人に対する差別意識を煽っている点です。日本の植民地支配を受けてきた人びとに対する差別を表す「三国人」という言葉の持つ問題点と占領時代以来の歴史的背景を無視した発言であり、また、関東大震災の際に在日朝鮮人の虐殺を引き起こした同じ東京という地の知事が全く同じ状態を引き起こそうとしています。

 第二の決定的な問題点は、在日外国人があたかも「凶悪な犯罪を繰り返している集団」、「震災が起きたら騒動も予想される集団」と決めつけていること、しかも「警察だけでは限界があって、自衛隊の出動まで必要となるほどの凶悪な集団」であると

のあまりにも一方的な決めつけをおこない、都民をはじめ、多くの人びとに差別意識を煽りたてている点です。

 これらの問題点をはらむ、石原都知事の今回の公人としての発言は、日本が1979年6月に批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約(国際人権自由権規約)の第20条2項「差別、敵意、又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。」という規定に明確に違反します。

 また、日本が1995年12月に加入したあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)の第2条・項の「各締約国は、個人、集団又は団体に対する人種差別の行為又は慣行に従事しないこと並びに国及び地方のすべての公の当局及び機関がこの義務に従って行動するよう確保することを約束する。」との規定、並びに第4条・項の「国または地方の公の当局または機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと。」との規定にも明らかに違反しています。

 さらに、今回の石原都知事の発言は、東京都が都民とともに進めている多文化共生社会の実現に向けた地域国際化の推進や地球市民を育成するための国際理解教育の推進を目指し、国際交流・国際協力および在住外国人支援を活動目的とする取り組みにも逆行しています。

 よって私たちは、石原東京都知事の今回の差別発言に対して強く抗議するとともに、以下のことを要請いたします。

1.今回の差別発言について深く反省し、不安と不快感を与えた在日外国人に対し、心からの謝罪をすること。

2.このような差別発言が再び繰り返されることのないよう、国際人権規約や人種差別撤廃条約など国際的な人  権基準に関する教育・啓発を都庁内において、知事を先頭に実施すること。

以上

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石原慎太郎都知事の「三国人騒じょう発言」ほか一連の差別発言の撤回と謝罪を求める声明文

 私たち「ミックスマリッジとあゆむ会」は、国際結婚をしている仲間を中心に、日本の国際化について考え、外国籍市民に対する差別をなくすための活動をしている市民グループです。

 さる4月9日の、自衛隊練馬駐屯地における石原慎太郎東京都知事の「三国人による騒擾(そうじょう)発言」は、現代社会の国際化の流れに規範を示すべき東京都の都知事の発言として、許されざるものです。「外国人が凶悪な犯罪を繰り返している」という発言ですが、まったく根拠のない偏見的なものです。以下に根拠数値を示します。

警察庁の『平成10年版、および平成11年版警察白書』の統計によると、

○最近6年間(1993年から1998年)で日本全体での刑法犯の検挙人員

1993年297725人→1998年324263人(26538人増加。約1.1倍に増加)

○上記中、「来日外国人」の刑法犯検挙人員

1993年の7276人をピークに毎年減少し1998年5382人(1993年から1894人と約4分の1以上の減少)

○日本全体の刑法犯検挙人員に占める来日外国人刑法犯検挙人員の比率

1993年2.44%→1998年1.66%へ低下。

○「来日外国人」による刑法犯のうち凶悪犯の検挙件数、検挙人員とも増加傾向はない。

○「来日外国人」刑法犯検挙者に占める「不法滞在者」の比率

最近2年間(1997年.1998年)で24%。

よって、

○最近6年間(1993年から1998年)における「来日外国人」犯罪は、日本全体の犯罪比率では1〜2%であり、増加も凶悪化もしておらず、むしろ減少している。

注)警察庁の定義では、「来日外国人」とは、わが国にいる外国人から定着居住者(永住者など)、在日米軍関係者及び在留資格不明者(国籍不明であるが明らかに日本人ではない者等)を除いた者をいう。

以上のことから、外国人は、特に際だって「犯罪の温床」ではありません。石原知事発言の「大きな災害では騒じょう事件すら想定される」に関しては、関東大震災後に「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」などのデマによって6000人以上が殺害された史実をくりかえしかねない、21世紀を目前にした現代に戦後の人種差別感覚を持ちこむ時代錯誤なものであり、国際社会での信用を失墜させ、なにより多くの外国籍市民とその友人、家族に対して失礼極まりない発言です。

 都民として、都知事の発言を、とても恥ずかしく思いました。

 ある言動が差別であるかどうかは、辞書によるものではなく、実際に傷つく人がいるかどうかという事実によるものだと考えます。

 以上のことから、私たちは、都知事に対し、発言の即刻撤回と、

謝罪を断固求めます。             2000年4月15日

ミックスマリッジとあゆむ会   平岡恵美子

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  • 新聞や識者のコメント

大江志乃・茨城大名誉教授

自衛隊という「軍隊」が治安出動するということの意味を、石原知事は全く分かっていないように見える。「軍隊」が治安出動すれば、民衆を「敵」と「味方」に分けて考えるだろう。一度出動したら、血を見ずには収まらない。それは過去の歴史が証明している。石原発言の根には、日本人の心の奥底に今も巣くっている差別意識がある。

内海愛子・恵泉女学園大教授

第三国人とは元来「当事者以外の第三国の人々」というだけの意味だった。日中戦争中の大本営陸軍部の文書には、敵の中国以外の米英など「第三国人」には迷惑をかけぬように、などという記述もある。

しかし敗戦後、占領軍の権威を利用した日本の警察が、連合国でも中立国でもない、朝鮮、台湾など旧植民地の人々に対してこの呼称を使い、「(将来)国籍の選択権が行使されるまで国籍未定の人民として・・・日本の裁判権に服する」と実務文書で規定。主として朝鮮人の権利を制限し、監視するために用いられ、一般にも流用してきた。

「朝鮮」「半島人」などと言われてきた人々が「開放国民」となり、戦後のやみ市などで活動しだしたとき、かつての植民地意識から抜けきれない人々の恐れや差別感がこの言葉にあらわれた。

(朝日00/04/12)

▽河野洋平外相「公職にある人が、ああいう場面で使われるのは適当でない」

(石原知事「それならそれで彼の解釈でしょう」日経00/04/14)

▽韓国外交通商省のスポークスマン「民族差別的、国粋的な発言で大変遺憾」(毎日2000.04.12 )

▽森喜朗首相「石原先生は国会議員だったこともあり、作家という立場もあるが、都知事という立場で発言されたのなら適切でない発言だったかもしれない」

▽青木幹雄官房長官「周辺諸国に与える影響を考えると、考慮しながらしないといかんなと考えている」

▽公明党・神崎武法代表「あまりに配慮を欠いた発言だ。多くの国民も、悲しく恥ずかしい発言だと受け止めたのではないか。人権に最も鋭敏な知事であってほしい」

▽民主党・鳩山由紀夫代表「人権の立場からゆゆしき発言だ。在日韓国、朝鮮人への差別が根っこにある」

▽共産党・志位和夫書記局長「差別的立場を表すもので、自衛隊の治安出動まで公言するというのは危険きわまりない」

▽社民党・土井たか子党首「韓国人、朝鮮人、中国人に排他的とも言える差別意識で『三国人』という言葉を使ったいきさつがあり、『そういう言い方もある』と許される問題ではない」( 朝日00/04/13)

 ◎政治家の演説には、わかりやすさが求められる。石原発言はいつもわかりやすいが、そのあまりに、論理を飛躍させたり、隣人の心を傷つけるようなものであってはならない。今回の件は、石原知事にとっていい勉強になったろう。(日本経済新聞社説4月13日)

 ◎その責任はむろん石原知事の不用意な言葉遣いにもあろう。しかし、言葉だけを論じ、国際化時代の国民の安全に関する発言まで抹殺しようというのなら、歴史認識をめぐる政治家の言葉に対する外国の批判だけを取り上げ、問題の本質を見ようとしなかったこれまでの過ちを繰り返すことになる。冷静な論議を期待したい。 (産経主張4月13日)

 ◎憲法の中に自衛隊を実態どおりの存在としてきちんと位置づけるべきである。そうすれば、自衛隊が軍隊であるかないか、などといった虚構の言葉いじりから国民全体が解放されることになる。(4月14日付・読売社説)

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