KSD事件 受託収賄疑惑の小山議員の質問

2000年3月7日 第147回国会 参議院予算委員会 小山孝雄議員(自民党・比例)の質問

国会議事録検索サービスより (http://kokkai.ndl.go.jp)

小山孝雄君 厚生省には、今の点、くれぐれも心を込めて進めていただきたいと思います。

 次に、文教問題に入ります。

 今折しも卒業式、入学式の季節であります。昨年八月十三日に国旗・国歌法が制定されて以来の初めての卒業式、入学式の季節でございますが、文部省は学習指導要領において、国旗・国歌に対する記述はどうなって、どのように指導してこられたのか、国旗・国歌法の制定におきましてもたびたび論議されたことでございますが、改めて伺います。

○国務大臣(中曽根弘文君) 学校における国旗・国歌の指導は、児童生徒に我が国の国旗と国歌の意義を理解させ、またこれを尊重する態度を育てるとともに、また諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てるために行っているものでございます。また、特別活動におきましては、小中高等学校とも入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとしているところでございます。

 国際化が随分進展してきた中で、自国の国旗・国歌はもとより、他国の国旗・国歌も尊重し、また敬意を払うことは当然身につけなければならない基本的なマナーと思っております。新しい学習指導要領におきましては、国旗・国歌の取り扱いに関する国際常識が小学校段階から児童生徒にきちんと身につくように記述の充実を図っているところでございまして、社会科におきましては、小学校の三年、四年における都道府県の人々の生活や産業と外国との結びつきの学習、また五年の国土の位置の学習に際し、我が国及び諸外国には国旗があることを理解させ、それを尊重する態度を育てること、さらに六年の国際理解、国際交流の学習の際には、我が国の国旗と国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てることといたしております。

 なお、小学校の音楽科におきましては、国歌君が代はいずれの学年においても指導することとしております。特別活動におきましては、小中高等学校とも、入学式や卒業式などにおきましては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するものとしているところでございます。

小山孝雄君 今指導の内容が、原則のような内容が語られましたが、文部大臣、実は私のところにこんな資料が寄せられました。小学校二年生の子供さんの音楽の教科書でございます。その冒頭に国歌が、歌詞と楽譜がございます。それを教えずに、その上に「ぞう列車よはしれ」という、これは反戦歌だそうですけれども、私は知りませんが、その歌詞を張りつけて、国歌を教えずにこの歌を教えたという。これは父兄からの訴えでございます。

 こういうことは、法令に照らした場合どういうことになるんでしょうか。

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○国務大臣(中曽根弘文君) 学校は、児童生徒の発達段階に応じまして教育を施すことを目的としておるわけでございますけれども、教員は、関係の法令や上司の職務上の命令に従って教育指導を行う職務上の責務を負うものでございます。また、学習指導要領は、各学校の教育課程の基準として法規としての性質を有するもので、教員はこれに基づいて学習指導を実施する職務上の責務を負っております。

 今御指摘の事案につきましては、詳細を把握しておりませんので、これについての具体的な判断は差し控えたいと思いますけれども、一般論として申し上げれば、学習指導要領において小学校では各学年を通じて国歌君が代を指導することとされておりまして、これを指導しないことは法規としての性質を有する学習指導要領に違反するものでありまして、地方公務員法上の懲戒処分の対象となり得るものでございます。

 なお、実際に処分を行うかどうか、また処分を行う場合にどの程度の処分とするかにつきましては、任命権者であります都道府県教育委員会の裁量にゆだねられているものでありまして、都道府県教育委員会において個々の事案に応じ、問題となる行為、性質、それから結果、また影響等を総合的に考慮して適切に判断されるべきものと考えております。

小山孝雄君 詳細は承知していないということでございますが、これは大阪の和泉市の某小学校であります。このままお渡ししますと、提供してくれた子供さんのお名前、学年、担任の先生、すべて名前が載っておりますので、そこのところは伏せて後ほどお届けします。中山大臣もお見えでございますが、大阪府和泉市だということ。これはその学校で、ただそのクラスだけじゃなくて幅広く行われている実態も私どもつかんでおりますので、どうぞ調査をしてください。よろしゅうございますか。

○国務大臣(中曽根弘文君) 事実関係を調査して、必要ならば適切な処理を、処置を行いたいと思っております。

小山孝雄君 既に卒業式が行われて、国旗掲揚、国歌斉唱の実施率等、文部省、掌握しているところもあろうかと思います。特に公立高等学校が、もう既にその行事は終わっていると思いますが、これまで低かったのは北海道、神奈川、三重、大阪、兵庫、奈良、広島あるいは東京等々でございます。

 今年度の実態について、初中局長、説明してください。

○政府参考人(御手洗康君) お答えを申し上げます。

 現在、公立の高等学校におきましては、卒業式、大方実施を終わっている段階でございますが、特に昨年の卒業式におきまして国旗掲揚あるいは国歌斉唱の実施率が低かった御指摘の都道府県につきまして、文部省といたしましては、全体の調査につきましてはこれから文書で卒業式、入学式後に全体をまとめていただくことになっておりますけれども、当面、電話等による連絡の段階で把握しているところを申し上げたいと思います。

 国旗の掲揚につきましては、北海道が九八・五%、神奈川、三重県が一〇〇%、それから大阪府が九九・四%、兵庫、奈良、広島県が一〇〇%。それから国歌の斉唱率につきましては、北海道が七八・七%、神奈川県が九七・五%、三重県が九八・四%、大阪府が八三・九%、兵庫県が九七・六%、奈良県が八八・九%、広島県が一〇〇%という報告をいただいているところでございます。

 なお、東京の都立学校におきましては、幾つかの都立高校では既に式は終わっておりますけれども、まだ全体として終わっておりませんので、全体の集計につきましてはこの場でまだ私どもとして発表できる状況ではございませんので、お許しをいただきたいと思います。

小山孝雄君 広島県が国旗掲揚、国歌斉唱ともに一〇〇%だと、こういうことでありますが、もし実態の伴うものであれば、大蔵大臣もおられますが、大変これは前進したことだと思います。

 私の手元に、実は、卒業式、入学式のときにこのように行動しろという高教組の中で配られているマニュアルが届きました。

 それを読んでみますと、職務命令を受ける場合、口頭での職務命令であれば文書での職務命令をしてくれ、そして個人個人に出してくれ、職務命令違反になってはいけないので、具体的行動としてどうすればいいかわかるような職務命令にしてもらうこと、よくわからなければわかるまで聞くことなどと細かく書いてございます。撤回しない場合は、個別具体的な命令が全員に出るまで動かないこと。職務命令に基づいて指示された行動のみ展開すること。当面、生徒への対応など一連の日程はこなすが、終了し次第、分会会議を開いて意思統一を図り、あすからの行動を協議すること。非常に事細かに書いております。

 文部省はこのような組合のマニュアルは手に入っておりますか。

○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のマニュアルは私ども入手しておりません。

小山孝雄君 これは、じゃ後でコピーしてお上げしますので、これも調査をしてください。よろしいですか、御回答を願います。

○政府参考人(矢野重典君) 入手をして調査いたしたいと思います。


*ここから国立市について*

小山孝雄 君 東京都の中でも、東京都は大分よくなったということを聞いておりますが、その中でも昨年女性の市長が誕生した国立市、非常に大きくあちこちで取り上げられております。実は、私もあそこに十五年住みまして、一番問題の小学校だという国立市立第五小学校、これは団地の真ん中にある小学校でございます。私の子供も二人ともその小学校を卒業いたしました。

 そうした思い出の地でございますが、そこの中で、あの国立で毎年学校に部外者が侵入をして校長室の三脚に掲げている国旗をおろしたり、あるいは国旗掲揚をしなければいけないという教師の皆さんもやろうと言っている、そこを物理的に妨害したりという事件が起こってきたと新聞報道に毎年ありました。

 ここに、子どもが主体になる学校行事を求める会として、その会から要望書が出ております。小学校長、教頭、教職員の皆様へということで、その中に、「私たちの手から子どもたちを取り上げ国家にさし出そうとするなら、私たちはあなたたちの手から子どもを奪い返すしかありません。」などという物騒なことが書いてあります。「奪い返すしかありません。」ということは、これは実力行使に訴えるぞと、こういうことに受けとめるわけで、私は、これは脅迫になるんじゃないかと思って、後で法務省に見てもらおうかと思っていますが、このような東京都下国立市における状況を文部省はどのように承知しておりますか。

○国務大臣(中曽根弘文君) 東京都教育委員会からの報告によれば、国立市における平成十一年春の卒業式当日、今、委員がおっしゃいました子どもが主体になる学校行事を求める会という団体のメンバーが学校に押しかけまして、四つの学校で、校長室内に掲揚されておりました国旗を外すなどの行動をとったとのことでございます。

 東京都教育委員会からの報告によれば、国立市教育委員会といたしましては、当時、団体に対して確認された妨害行為について、厳重に抗議を行ったと聞いております。

 学校運営は、校長の権限と責任のもとで、法令に基づいて適正に行われる必要が当然あるわけでございます。文部省といたしましては、学校や教育委員会において必要に応じ警察等の関係機関と情報交換を行うなど連携を図り、学校運営の適正化に努めるとともに、学習指導要領に基づく適切な教育活動が行われる必要があると考えております。

 今回の卒業式における国旗掲揚、国歌斉唱につきましては、各学校において学習指導要領にのっとった適切な取り扱いが行われるように、今後も東京都教育委員会を指導していきたい、そういうふうに思っております。

小山孝雄君 聞いてみますと、部外者が学校に入ってきた、校長が帰ってくださいと言っても帰らない。これは、もう住居不退去罪、刑法第百三十条、「三年以下の懲役又は十万円以下の罰金」と書いておりますが、その罪にも該当するんじゃないんですか。

 どのような厳正な対処をなさったのか、もう一度聞かせてください。

(5/29) 次の分割内容

○政府参考人(矢野重典君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、国立市教育委員会といたしましては、当時、当該団体に対して確認されました妨害行為に対しまして厳重に抗議を行ったというふうに聞いているところでございます。

 ただ、これも国立市教育委員会の報告でございますけれども、校長と市民団体との間でもみ合いとなるような、そういう状況がなかったということから、告発等の措置は行っていないという報告を受けているところでございます。

小山孝雄君 毎年毎年このようなことが繰り返される、大変ゆゆしいことでございます。私は、当たり前のことが当たり前に粛々と行われる、そんな教育現場であってほしいと心から念願をして、こんな問題を取り上げさせていただいたところでございます。


*ここから道徳教育について*

 そしてまた、文部大臣は、これまでも大変教育問題に我が党の幹部として取り組んでこられました。特に道徳教育、あるべきことを、正しい人間としての姿を、本当に簡単なことです、それをきっちり教えるという道徳教育の充実を図らなければいけないと思います。どうぞこれからの方針を、お考えを聞かせてください。

○国務大臣(中曽根弘文君) 道徳教育について御答弁申し上げます前に、先ほどの学校への侵入といいますかのことでございますが、局長からも答弁いたしましたけれども、団体の中には御父兄の方もおられることもあり得るわけでありまして、なかなか学校側としてはそういう方々の来校についての対応というのは非常に難しいと思いますが、しかし校長室、例えば先ほどのお話は校長室でございますが、校長室には国旗のほかにも重要な書類もあることと思いますし、また防犯上いろいろな点も考慮いたしまして、管理上の問題もありますので十分今後気をつけるように、また東京都教育委員会等に指導していきたい、そういうふうに思っているところでございます。

 道徳教育はまさに人間の根本にかかわる大変重要なものでありまして、小学校、中学校、高等学校、あらゆる段階において子供に適切に指導することが大変重要でございます。

 小さいころからの教育というものがその人の一生を左右すると言っても過言ではないと思っておりまして、そういう意味では、学校におきましては道徳教育に努めているところでございますし、各学年の発育段階に応じて、それぞれの学科であるいは道徳の時間で今やっているところでございます。今後さらに充実させるように努めていかなければならないと思っております。

小山孝雄君 道徳教育といいましても、決してしかつめらしい顔をしてかた苦しいことを教えるんじゃないと思います。

 一昨年になりましたが、学校教育の現場で苦悩している広島県の中学校の教師をこの委員会にお呼びして証言をしてもらったのが一昨年の四月でございました。それが契機に広島県においてはいろんな動きがあっているわけでございますが、宮澤大蔵大臣の地元の福山市の佐藤教諭(*HP管理者注:セクハラ教師)がそのときに明らかにいたしましたが、三つのことを守れば学級崩壊などという状況はなくなりますと。

 一つは、時間を守ること。朝起きたら歯を磨く、食事をする、 そして学校に行く。学校に行ったら、始業ベルが鳴れば席に着く。時間を守るとはそういうことです。 それができないから授業が始まらない。あいさつをする。人と会ったらあいさつをする。 あいさつは友達同士のあいさつ、目上の人とのあいさつ、あるいは自分の下の、年下の者へのあいさつ、この違いを教える。それから、正しい言葉遣いを教える。 この三つを守ればいいんですよということをこの委員会で証言したことを思い起こしております。

 どうぞ文部大臣、学習指導要領にのっとった学校教育の現場になり、そしてまた道徳教育がきっちりと進むよう重ねて要請しておきます。

○国務大臣(中曽根弘文君) 今お話しありましたように、時間を守ること、それからあいさつをすること、また正しい言葉を使うこと、いずれも大変大事だと私も思っております。

 学校教育における道徳教育については、先ほど重要性について申し上げたところでございますが、もう少し詳しく学習指導要領における指導の現状について申し上げれば、小学校の第一学年及び第二学年では、「気持ちのよいあいさつ、言葉遣い、動作などに心掛けて、明るく接する。」、それから、第三学年及び第四学年では、「礼儀の大切さを知り、だれに対しても真心をもって接する。」、第五学年及び第六学年では、「時と場をわきまえて、礼儀正しく真心をもって接する。」等を身につけることとしているところでございます。

 今後とも、小学校段階から繰り返し発達段階に応じまして集団生活をしていく上での基本的なルールを守るような指導が行われるよう努めてまいりたいと思っております。

 

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