子どもたちが実際に受けた被害 −人権侵害の事実

● 産経報道の翌日から始まった第2小学校への攻撃

 2小への攻撃は4/5産経報道の翌日、始業式・入学式の日からすぐに始まった。始業式のときには、右翼団体が、「日の丸」を掲げ、校歌をかきけすように大音量で「君が代」を歌い、始業式を妨害した。下校する子どもたちに「土下座と言ったのはだれ」「あなたは日本人でしょ、日本人なら、日の丸・君が代を愛しなさい」「韓国・朝鮮人は出て行け」などの言葉を投げかけた(「警備」や「状況の把握」のために来た警察・市教委は放置・黙認。彼らは子ども達のためではなく、国旗掲揚のために来ていたのだろうか。)。学校には、電話・ファックス・手紙による、いやがらせ・抗議も多く来るようになった。
 2小の卒業生の通う第2中学校でも、入学式に右翼団体が来て、「警告 日の丸・君が代に反対するものは反日朝鮮系日本人だ!!」などの差別的なのぼりをたて演説をした。「2小卒業生は誰か」「あのとき校長を囲んだのは誰か」などと、学校帰りに聞かれた生徒もいるという。

● 続く人権侵害 〜60台以上の街宣車、脅迫状〜

 4月8日には、授業中に街宣車が大音量で「君が代」を流し、授業を妨害した。しかし、澤幡校長は会議を理由に何の対策もしなかった。
 4月26日には60台以上の街宣車がやってきた。(すでに、前日から「明日はおもしろいことが起こる。首を洗って待っていろ」などと、2小に脅迫電話がいくつか来ていた。)彼らはすさまじい大音量で、「国立市は教育正常化に立ちあがれ!!」「共産主義に屈服した2小澤幡校長は辞職せよ!!」「学習指導要領を遵守しない教師は即刻処分せよ!!」などと連呼し、市内を街宣した。このときには、「いまだかつて児童らが自ら国旗・国歌反対の政治闘争に立ち上がったことは皆無」「子どもたちが校長に土下座を強要」などと表現はさらにエスカレートし、「赤いハチマキをつけた児童が校長室に乱入し辞職要求」などという全く事実無根のことまで言われていた。こうやって、誤った情報が垂れ流され、子どもたちに対して、ひどい誹謗中傷がされた。事前に街宣車60台がやってくるということが分かっていたため、2小ではこの日、午後は休校にして地区の親が迎えに来て一 斉下校するという対応を取らなければならなかった。卒業生の通う第2中学校前でも、「2小の卒業生は出て来い」と卒業生への脅しがあった。
 そして、5月22日には「コドモヲユウカイシテコロス」と書かれた脅迫状が学校や学童保育所へ送られてきた。また、5月26日から5日間、産経新聞が一面トップで「国立市立第2小学校国旗掲揚問題」としてキャンペーンを行い、駅頭や一部の地域で配布された。子どもへの危害を恐れる保護者の声が高まり、27日の運動会は地域の見まわりを行いながら実施された。
 6月6日には、産経新聞が脅迫状の内容を大見出しで掲載したため、保護者の不安は増大し、下校時の見まわりを開始した。
 また、マスコミ報道も過熱し、6月10日には、『週刊新潮』の記者が、遊んでいた小学校低学年の子どもに「君たちどこの小学校?」「君たちの先生は、どんな先生?」と尋ね、「アルバムに先生の写真が載っているよ」という子どもの答えに、「じゃあ、見せて」と自宅までついてくることもあった。
 6月14日には、子どもを見たという文が含まれるはがきが来た。そして、6月17日の授業参観では、手紙を持っていない人は校舎内に入れないようにするという対策を取らざるを得なかった。
 夏休みになっても、プールなどの下校時には先生方が引率するなど、被害は2小の卒業生だけでなく、2小の子どもたち全体におよんでいる。

●保護者が目撃した被害

 4/6、2小の始業式・入学式の日、私はPTAの仕事があって学校に行きました。いつものように東門に向かうと街宣車が数台来ていて、日の丸やのぼりがたくさんたててあり、マイクを持った女の人が何事か叫んでいました。始業式を終えて帰ろうとする子どもをつかまえ、 「なんで日の丸がこわいの? 日の丸はお日様なんだから、みんなを元気にするものでしょう? 日の丸がこわいなんていう子どもは日本人じゃないんだよ。あなたは日本人? 日本人なら日の丸がこわいなんておかしいんだよ。この学校の先生たちはみんな悪いことを教える悪い先生なんだよ。卒業式の時、校長先生に土下座をさせた子どもがいる!!! この中にその時の5年生はいますか? あなた5年生?...」 などと言っていました。子どもたちはこわがって東門を出て行けず、ある先生が、「あっちの方に帰る子はいっしょにいってあげる!」と言い、子どもたちの手をひいて出て行きました。
 この状況を、校長は黙って立って見ていました。後でわかったことですが、教育委員会の事務局職員たちも、数人がその場に居合わせていたものの、誰も子どもを守ろうとはしていなかったそうです。

 その後、いろいろな人に、その時子どもたちが受けた被害状況を聞きました。

(1)
マイクを持った女の人「あなたは日本人か?」
女の子A      「はい」
マイクを持った女の人「あなた何年生?」
女の子A      「5年生」
(ここで男の人にかわる。)
男の人  「校長先生を謝らせた5年生か?」
女の子A 「私は今日5年生になったばかりなので卒業式にはでていません」
男の人  「ここには悪い先生達がいるからね」「日の丸好き? 君が代好き?」
     「日本人だったら君が代好きなはずだよ」
     「・・・の子どもたちは君が代を歌うと元気になるんだよ」(・・・の部分は記憶にない)

(2)
マイクを持った人「あなたは日本人か?」 
女の子B    「・・・」
女の子C    「この子は日本人じゃない」
女の子B    「私はハーフです」

(3)
マイクを持った人「日の丸や君が代をやらないと、小渕首相みたいになっちゃうよ!」
子ども     「そんなことは全然関係ない! 首相は働き過ぎて倒れたんだ」

 
*「子どもの人権が守られる学校を求めて 〜国立2小<卒業式実施報告書問題>が示すもの」より。
発行・作成:子どもの発言を守る2000年国立2小卒業生保護者を支援する会
パンフレットご希望の方は、T/F 042-573-4027(国立の教育を守る市民連絡会)まで。

 


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