「日の丸・君が代」はいらない!
くにたち・一橋ニュース

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2000/03/16発行


●● 今号の内容 ●●

【1】ニュースいろいろ
【2】学生部長との会合報告 〜「日の丸」掲揚は国家機密か?〜
【3】教育委員会傍聴報告



 みなさん、こんにちは。いよいよ国立市の中学校の卒業式は明日にせまりました。市民・教職員は「日の丸・君が代」のない卒業式を求め、最後まで話し合いを続けています。



【1】ニュースいろいろ

◆ 解放同盟も「日の丸・君が代」強制反対の申し入れ書
 14日(火)、部落解放同盟東京都連合会が、人権尊重教育の理念に立脚し、「日の丸・君が代」の強制をおこなわないよう要請する申し入れ書を、国立市教育委員会・教育委員長・教育長に提出した。

◆ 立川市役所の「日の丸」常時掲揚は見合わせ
 立川市では、3月1日より市役所に「日の丸」常時掲揚することが予定されていたが、 組合や市民の反対もあり、14日(火)現在、掲揚は見合わされている。



【2】学生部長との会合報告 〜「日の丸」掲揚は国家機密か?〜
   (一橋大学学生・岸 正行)

 15日(水)、「日の丸」掲揚のためのポール設置の問題について、学生と学生部長との間で会合がもたれました。自治会役員、有志アピール活動を続けてきた院生や学生など20数名が集まり、まず始めに院生有志の呼びかけによるアピール「議論の場を否定する『日の丸ポール』はいらない」が提出されました。試験・春休みという悪条件の中でこのアピールに176名が賛同しています。民主的な議論を行うことを求め、「議論の場」否定のシンボルであるポール設置に反対するという主旨です。

 続いて、学生部長に対し現在の状況についての説明を求め、ポール設置反対の意思を改めて訴えました。学生が要求した項目は以下の3点
 (1) この問題について学生と学長・部局長との話合い(会合)を行うこと
 (2) ポール設置についての日程・掲揚方法・予算などの情報を学内に公開し、着工の際には自治会に知らせること
 (3) 今後、「日の丸」問題について、警察導入・学生処分などには学生部長としては反対すること
でした。
これに対して学生部長から返ってきたのは
 (1) 学長・部局長の反応は芳しくないが努力する
 (2) これについては、ここでは決められない。話し合って返答する
 (3) 今も反対している
という回答でした。

 5時間近くに渡った議論のなかで、学生部長は今年度中にポールを設置しなければならない必然性は全くない(「メド」「ケジメ」として今年度中なのだそう!)こと、そして大学執行部の中でも積極的に「日の丸」を揚げたい人がいるわけでないことを認めました。にも関わらずなぜこの時期にポールを設置しなければならないのか、という問いに対しては「混乱を防ぐため」そして「11月12日のように、どうしても揚げなければならなくなったときのための保険」という、内実の非常に曖昧な回答に留まりました。

 また、学長・部局長がほぼ独断でポール設置を決定したことについては「掲揚方法や場所も含めて、学長が部局長と相談して決めるのが通例だ」と「正規の手続」であることを強調する一方、結局いつ着工するのか、予算の所在、卒業式での対応などごく基本的な情報についてさえ、「自分は分からない」「議論してない」など、無責任な回答を繰り返しました。

 学生との議論については、執行部が「反対派の人間とは話し合っても平行線だから、話合っても意味がない」という、話合いそのものを否定する態度で今回の問題に臨んでいることを明らかにしました。さらに、学生部長は学生との議論の場の設置に最後まで消極的であり、「むしろ反対派の姿勢に問題がある」というような問題発言もありました。

 「国家機関の命令は、命令であって強制ではない」
 「大学の『日の丸』掲揚は機関としての行為でしかなく、構成員の思想・信条の自由とは関係がない」
…今回の話合いのなかで学生部長が言った言葉です。「命令なら国が右向け右といったら向くのか」という質問に対しては「そうでしょうねえ。」と答えました。こんな言葉を未だにさらりと言えてしまうところに、大学のこの問題についての無自覚さがよく現れています。大学がいつポール建設に着工するか分からない中、さらに学生の反対の声を見せていかねばならないでしょう。いよいよ山場です。



【3】教育委員会傍聴報告
   (国立市議・重松朋宏)
 中学校卒業式(3/17)直前の教育委員会ということで、市教委の卒業式への態度表明がなされるのではないかとの予想があり、心配する市民が20人ほど傍聴にかけつけた。今回は地方分権がらみの条例改定に伴う規則改定案の審議や3月議会の報告で長時間に及んだが、最後まで傍聴席は埋っていた。

 校長連名で市教委にあてた「卒業式及び入学式における国旗・国歌の指導に関する対応について」と称する依頼(3/2付)が報告された。部下(校長)が上司(市教委) に依頼文を送るという自体、極めて珍しいことだが、この文書は機関としての校長会で はなく、あくまで校長の連名による文書との確認がなされた。 今年も市教委が「通達」を出さず、各学校で話し合いを尽くすように求めたことから、教職員や保護者・市民と直接対応せざるをえなくなった校長が、あらためて上(市教委)からの強力な統制・指導を求めたものといえるだろう。また、依頼文の中で協力・支援を依頼した4項目の中には「学校に法令違反があった場合には、事実に基づき校長も含め厳正に処分を行うこと」との項目もあり、校長の間で脱落者を出さないための「血判状」のような性格を持っていることが伺える。

 市教委は3/7(火)に校長を呼び、書かれている依頼内容について話を聞いた上で、卒・入学式が混乱なく「適正に」行われるために校長が総体的な支援を求めてきたものとして受け止めているという。この文書の性格や列挙された協力内容についての追及にも、各々の学校で卒業式の実施内容を話し合っている最中であることから今後個別に考えていくということで、市教委としての具体的な対応は明らかにされなかった。

 意見討論では教育長・教育委員長を除く教育委員3名から様々な意見が出され、傍聴席からも発言を求める声が起こったが、委員長は「いろいろな意見があるということで…」と収めた。

 また、質疑の中で、3/7参議院予算委員会で国立市のことが昨年よりも長い時間とりあげられたこと、3/13に都教委から市教委が指導を受けたことが報告された。

 卒・入学式関係の要望書は7件が提出されていたが、質疑・討論は行われなかった。強制に反対する「3.5実行委」(前号にて報告)や、子供が主役の式を求めるPTA連絡協議会などの要望書が加わったが、右派のものは既に出されている署名の追加分1件のみだった。

(※ 次回は3/29(水)10時〜、教育委員会室にて)



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