「日の丸・君が代」はいらない!
くにたち・一橋ニュース

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2000/03/10発行


●● 今号の内容 ●●

【1】都立国立高校で「日の丸・君が代」実施
【2】一橋大ポール問題の公開質問状回答、4月に
【3】1990年のポール問題を振り返る 〜最終回 (6)



 みなさん、こんにちは。一橋大学の学生寮の入寮者募集の掲示にこんな表記がありました。

  「募集対象:平成12年度に在籍となる学生(日本人及び外国人留学生)。」

これはおかしいのでないかと担当の課に尋ねたところ、係の男性は「外国人留学生も入寮できるということを言いたかっただけで、在日朝鮮人などを排除する意図はなかった。」「在日朝鮮人は日本人に含まれる。」などと答えました。この掲示は次の日には修正されていました。

 さて、彼には「悪意」はなく、日本の平均的意識を反映しているだけなのでしょう。しかし、≪学生=日本人である≫ ≪日本には日本人しか住んでいない≫という勝手な思い込みが、「日の丸・君が代」を容認する意識の一部を支えてきたのではないでしょうか。このような思いこみは、「日の丸・君が代」を賛成・容認している人たちだけでなく、「国民的議論がされていない」「民主主義の問題」として法制化に反対した人たちの意識の中にも、潜在的に存在する根深いもののような気がします。



【1】都立国立高校で「日の丸・君が代」実施
   (一橋大学学生・炭谷昇)

 本日10日、都立国立高校の卒業式が行われた。国立高校は、国立市内の公立高校で最初の卒業式ということで注目されており、朝から報道関係者が取材に来ていた。正門前では保護者などが、強制反対の意思を示す「ピースリボン」とリーフレットを卒業生や父母らに配り、なかには「クラスのみんなにも配る」とたくさんリボンをもらっていく生徒もいた。

 国立高校では昨年までは、屋上に「日の丸」を掲揚するだけであったが、都教委の通達を受けて、校長は、今回からは指示通りに実施すると表明していた。今年の卒業式では、「日の丸」は、屋外のポールと式場の壇上の2ヶ所に、都旗・校旗とともに掲揚された。「君が代」は司会者が国歌斉唱と発声し、テープを流したが、半数近くの生徒と少なくない保護者が着席していたという。

 「日の丸・君が代」は実施されたが、それに対する抵抗は決して少なくはなかった。生徒有志は掲揚・斉唱反対と卒業証書の西暦表記を求める署名や、校長との話し合いなどを行ってきた。また、「日の丸・君が代」実施はやめてほしいという保護者、OB/OGからの要望もあった。卒業式前日も強制に反対する生徒たち数十人と校長との話し合いがもたれたという。

 なお、東京新聞10日夕刊によると、都立高の「君が代」斉唱率は昨年の7%強から90%前後までに跳ね上がっているという(9日まででの数字)。卒業式に至るまで、都教委・教育長中島元彦は、通達・CD配布・校長呼び出し・ポール建設予算など、様々な圧力をかけてきたが、その「成果」は確実に表れている。

(asahi.comに記事。http://www.asahi.com/0310/news/national10008.html



【2】一橋大ポール問題の公開質問状、回答4月に

 8日(水)、一橋大学で教授会が開かれ、「日の丸掲揚のためのポール設置に関する公開質問状」(2月15日付)が、学生自治会から評議会に提出されていることが報告された。公開質問状の回答は評議会の出した案を教授会が承認するという手続きを取るため、回答は次回の教授会が開かれる4月以降になる。大学当局は今年度中にポール建設着工することを表明しており、回答はポール建設後となってしまうことが予想される。

 学生自治会は2月に、公開質問状に回答するまではポール建設を見合わせるようにという要望書を大学当局に提出したが拒否されている。

 また、学生自治会は11月30日にも、大学当局の出した「急告」(※学生の処分を示唆した)に関して公開質問状を出しているが、こちらも未だに回答はなされていない。



【3】1990年のポール問題を振り返る (6)
   (一橋大学院生自治会・大屋定晴)

 前回、10年前と「日の丸・君が代」問題に関する論点はほとんど同じであると書きましたが、ポール建設の決定に限って言えば、ある種の違いがあります。十年前も今回も、ポール建設の目的は「混乱を避けるため」であると大学当局は説明しています。しかし、十年前のポール建設が、「即位の礼」という「特別な日の掲揚」の「混乱」を避けるという目的だったのに対し、今回は、休日や学内行事日の掲揚場所を西正門前ではなく屋上のポールにするということであり、「慣行」そのものの変更を目的としているのです。大学当局はかつては変更の議論はしないと主張していたましたが、今回の決定は「慣行」そのものの変更につながっているのです。

 十年前と異なって、ポール建設が学生自治会にも教官層にも事前に「報告」されたことは事実です。だが、「報告」したからと言って、十年前も今回も学部所長と相談した学長の専断であることには、変わりがありません。これが真理探究の府の出来事とは、口が裂けても言えますまい。

 最後に、私たちの運動の進め方についてです。十年前の出来事は、単に「日の丸」掲揚という問題だけではなく、大学の非民主的な運営をも露呈しました。今回の建設もまた、大学内部での討論を経ないまま、決定されました。私たちは、「日の丸」問題の背後にある、学内権力の非民主性を敢然と批判しなければなりません。そして、その批判を、あらゆる手段によって学内各層に浸透させていかなければなりません。署名、アンケート、ゼミ決議の呼びかけ等々、私たちにはやるべき事が依然として残されているのです。そして、その運動を徹底的に継続していくのです。十年前の出来事は、そうした教訓を私たちに残しているのではないでしょうか。

(この連載は今回で終わりです。)



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